友達が餅つき機と卓上フライヤーと、それからクッキングカッター的な物三種類くらい衝動買いした後に、購入したヤツ

胡蝶花流 道反

第1話

 友人が卓上焼き鳥用ロースター等という、非常に潰しのきかない家電を購入したとの事で、昼食に招待された。

「お~、来たのか。入って入って。早くやろ~ぜ、ハラ減った」

 食べる分は準備済と聞いたので、手土産には大量の飲み物を持ってきた。

「さ~初出動だ、フェニックス1号!」

 名前付けたのかよ!


「先ずは基本中の基本、モモからだね~」

 それとビール、な。

「4本づつ焼けるから、いい感じで一人2本づついくよ」

 タレはたっぷり目で。

「えーーー、モモは塩だろ、あっさりと塩!」

 いやいや、ここは普通タレだろ。オーソドックスに、タレ!

「…仕方ない、2本は塩、2本はタレで焼こう」


「かんぱ~い!」

 かんぱ~い。

 肉が焼けるまではキャベツで一杯やりながら待つ。

「焼き鳥屋みたいだな。この香ばしい薫りが何とも…なぁ、1本づつ交換しない?」

 せやな。

 ジリジリと焼けてキュッと締まってきている白い身を眺めていると、こちらも食べたくなってきた。

「よし、焼けた!」

 お先にタレから。う~ん焼き鳥と言えばコレだね。

 上手に焼けているじゃん。 

「流石フェニックス1号、奮発して買った甲斐があったよ。塩もいいが、やっぱタレも食わんとな」

 現金なヤツめ。いや、私も、かw

「さぁ、次は何行こうか」


 ネギマ・スナズリ・セセリ・トリカワ・ナンコツと、次々に色んな部位を(勿論タレと塩の両方で)焼いては食らい、ビールを飲み、箸休めに刻んだお新香を齧り、ビールが無くなったのでハイボールを飲み、ハイボールが無くなったのでレモンサワーを飲み…確か350㎖を6缶づつ持ってきた筈なのだが…昼間からどんだけ飲んでんだ私らwww

「えっとぉ、レバー焼けたよ。一味振るよね~」

 ちょっと待ったぁ!

 慌ててバッグから七味を取り出す。

「ええ~しちみぃ!?邪道じゃん」

 邪道と言われようが、私はこっちが好きなんだよ。

 …でも、又もや。

「一味はね、シンプルにレバーの旨さを引き立てて偉いんだよ。で、七味はね、レバーの旨味に刺激と深みを加えて偉いんだよ」

 うんうん。どちらも偉い…じゃない、旨いという事で。

 ところで、私の持ってきたドリンク、もうないよー。

「よし、ワイン出しちゃる。赤でいいよねぇ?」

 ええー、白の方が、良くね?

「それなら、両方開けてテーブルに置いておけば、いいや」

 すまんな。それに飲み物は全部こっちで用意する筈だったのに、な。

「仕方ないって~、さあツクネ焼けたぞ、ピーマンにぶち込むぞ」

 あ、私は生のまんまでいいよ。

「マジか、チンしなくていいのか?生ピーマンとか、やべえだろ!」

 くくく、このウマさが分からないとは、哀れな奴め。

「おおう、そこまで言うのなら、食ってやんよ。お、ウマっ!」

 焼きたてのツクネを生の卵黄にくぐらせ、半分に割ったピーマンの中にギュウギュウに押し込む。当然、両方頂く。生ピーマンは爽やかな青臭さが、チンピーマンはクセが取れて馴染んでる感じが、それぞれツクネと調和して美味しい。

 コイツがさ、白ワインに良く合うんだ…って、赤だコレ…うん、赤ワインの方が合うかも…

「美味けりゃどっちでもいいんだよ。えっと、さっき赤飲んだから次は白。赤、白、赤…」


「ゲップ、食い過ぎた」

 っていうか、飲み過ぎた、だろ。見てよこの空き缶の山www

「フェニックス1号よ、ご苦労であった。でも後片付けがめんどくせー」

 私も手伝うからさ、でも今は…

「ちょっと昼寝したいね」

 それそれ!

 やっと、意見が合ったね。

「そーだね。ではしばし、休もう」

 ん~、お休みぃ。



以上、色気もクソもオチも無い、女二人の酒と肉にまみれた午後であった。

 

 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

友達が餅つき機と卓上フライヤーと、それからクッキングカッター的な物三種類くらい衝動買いした後に、購入したヤツ 胡蝶花流 道反 @shaga-dh

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ