恋人の眸

私を殺すには一行の文章があれば足りる

噫私は私の修羅を殺した、一切を殺した

しかし恋人の眸は優しく殺すことが出来なかった

神が詩を書く時 私は神の筆となる

私はその後光に包まれている美しい背に惚れている

効かない薬を飲み 雨を見つめている 天鵞絨の雨よ

繊細な雨 雨 雨よ 私を殺すには一行の文章があれば足りる

恋人よ 互いに病み憔悴している恋人よ

殺生の秋を互いに望んでいる

繊細な愛の雨が憎悪の雨と変貌する

私たちの肉には天使の泪と純系の悪魔の血が混濁している

私を殺すには一行の文章があれば足りる

噫こよなく愛している恋人よ あなたの肉は太陽の中で炸裂している

獰猛な獣が哭いている、私の胸の中でまどろんでいる

そんな光景が私は愛おしい 恋人は獣、人間という獣

背徳の秋だ、木々が顫動すれば恋人の口から諾の声

哀音奏で、感情が私の中であがいている

究極の抱擁をした後の、お前の魂の残滓をこよなく愛している

噫狂おしい程にお前を愛しているのに私は私をひねり殺そうとしている

お前は哀しい接吻を好む 私はその度にお前を失っていた

奔り行くお前の背が 神の背に見えた

ただ儚い照射を浴びたお前は残酷な程に美しかった

天界からこぼれる花束のようにお前は良い香りがする

お前の全てを殺したが一つだけ殺せないものがある それはお前の眸

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