第20話 地獄に落ちた女神

奈落に吸い込まれた私は冒険家のアイと手をつないでいた。

地面は固い岩の感触がある

周囲は暗いが、前方に光が見えた。


「いこう、ヒサギ」

アイが手をやさしく引きながら歩き出す


横穴から出ると和風の街が広がっている。

もちろん地上も同じなのだが、この地下世界では

鮮やかな色が使われていた。


朱の色をまんべんなく使い

瓦も柱も赤く染まり美しい調和感がある

「ここが地獄なのかしら」

迷信では地獄につながると言われていたが

もし箱を投げるだけなら、この世界の人達に迷惑が

かかると思える

「女神様は地下世界を知らないのかも?」

アイに質問してみるが、彼はあまり余裕が無さそうだ。


「ヒサギ、この世界の住人は鬼だよ」


横穴からでるとすぐに街についた、確かに住人は

着物を着ているが、人ではない。

角があったり、目の数や位置が違う。


言葉は同じで、地上の世界に居ても違和感がない鬼も居る

おだやかで普通の街に見えた。


「アイ、この箱をどうしましょう?」

捨てても拾われて、鬼が管理する事になるのだろうか?

どこかにあずけたい。


「見つからないように、ここ管理する場所まで移動しよう」

アイは武器を片手剣しか持っていない、多人数との戦闘は

難しい。幸い私たちの服装は、和服風にも見える。

一見して鬼に見えない子供も居るので、見つからない事を祈った。


「神社があるわ」

私は朱色の鳥居を見つけた、なるべく平和的に解決をして

地上に戻りたかった。


神社の境内に入ると、背の低い鬼が立っている。

「こちらです、六の目の王がお待ちです。」

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