1月9日 とんちの日

 パイプ椅子の座り心地はあまり良いとは言えなかった。

「君は日本語の読み書きは問題ないようだね?」

「はい……」

 とにかく申し訳なさそうにつとめた。交番のお巡りさんにこんな威圧感を感じたのは初めてだ。

「それで君の言い分は」

「いや、その……。真ん中をね、一応渡ったんですけど……」

「はあ……。まあ今日は注意だけにしとくよ」

「はい、気をつけます……」

 帰り道、渡るべからずの橋はちゃんと避けて帰った。そして家の近くで待たせていた女の子と合流する。

「それで? いつから虎を飼っているの?」

 彼女は家の庭を見て尋ねた。

「いや、これがまた面白い話で……」

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