2051年11月2日 もうすぐうんどう会

「2051年11月2日


 いよいよ、来しゅうの土よう日はうんどう会。さいきんの体いくは行しんとか並びかたとか、あと、かけっこや大玉転がしのれんしゅうとかばかり。

 うんどうはにがて、むかしにくらべて体もかたくなった、と言ったら、初海さんにわらわれた。どうして? ほんとのことなのに」


        ***


 そう、運動は苦手。昔も今も。だから、子どものころは体育の時間がちょっと憂鬱だった。どんなに速く走ったって、それにどんな意味があるのかもわからなかったし(正直、今もわからない)。そう叔母さまに言ったら、まあね、でも、自分の能力を知るのは大事かもよ、と、珍しく曖昧なことを言われたっけ。


 あのとき、叔母さまは私に尋ねた、かけっこに順位はあるのか、と。


「ね、今は、徒競走で一等賞とかあるの?」

「? 今は、って? かけっこなんだから、当然順位はあるでしょう?」

 不思議に思ってそう聞き返したら、叔母さまは肩を竦めて、私が子どものころは、遅い子が可哀そう、公平にゴールするべきって、順位を付けなかったこともあったのよ、と言った。

「かけっこだけ、順位無し? 勉強でもなんでも、大抵順位をつけるでしょ?」

「そうよね。私もそのとき、公平って、そういうことなの? 得手不得手があって、だけどそれぞれに価値がある、と認めるのが公平なんじゃないの? って思ったわ」

「ふーん」


        ***


 とにかく、その後、私が子どもだった当時は順位付けが復活していて、まあ、お陰でちょっと苦戦したりしたんだけれど。

 このことを初海さんに愚痴ったのが、この日記の内容につながったのよね、確か。

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