うちのお嬢の言うことにゃ~初海さんと貴禰ちゃん
はがね
プロローグ、または、佐納初海の備忘メモ
私、
…職を辞す。正確には、お払い箱? ちょっと違うな、役割終了? うん、そう。役割終了。お世話係(いわゆる『ねえや』というやつ)として見守って来た貴禰お嬢様(“お嬢様”と本人に言うと怒られるんだけど、でも、私の雇用主である貴禰さんのご両親や屋敷の他の使用人の皆さんとの間では“貴禰お嬢様”で通しているし、そうでもしないとついつい、こういう方たちの前でも“貴禰さん”と呼んでしまいそうになるんだもの…)が、全寮制の学校に入ることになったから。
私、もう15歳なのよ、お世話係無しでやっていける年齢よ、ごめんなさいね、勝手に決めて―。そう詫びられたけれど。私は知っている。これが、『ねえや』として私をこのまま傍に置き続けたら、私が私の目指す人生を進むことを難しくしてしまうと考えた、あの子、貴禰お嬢様の、優しい配慮だということを。
***
一緒に過ごした9年ほどの間に、私は、貴禰お嬢様がしたこと言ったこと、一緒に話をしたことなんかを、折々にモバイルのカレンダーメモに書きつけた。いわば、『お嬢様観察日記』。ほんの数行のメモにすぎないけど、読むと、どれもがその時のことを鮮やかに思い出させてくれる。
モバイルの『日付ランダム選択機能』を使ってセレクトして少しずつ読み返すと、これがまた面白い。ちょっとした物語みたいだわ―。
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