都会のカエルになったわけ

ようよう

都会のカエルになった訳

私は自然豊かな山奥に住んでいました

田んぼが多くあるあの村はカエルたちの楽園のような場所です

多くのカエルが住んでおり、夏になるとみんなで歌うのです

しかし、今私は都会のカエルをしており、夏になっても一匹寂しく歌っています

今日はその訳を話そうと思います


事件が起こったのはある夏の日のことでした

おたまじゃくしからカエルへと成長した私は、その嬉しさのあまり様々なところを飛び回っていました

普段は田んぼに住んでいるのですが、珍しく畑にもでかけて見ようと思ったのです

今から考えるとあれは大きな失敗でした

畑に向かう途中に長細いヘビという生き物に出会いました

私はヘビを初めて見たのですが、友達から蛇は私達カエルを襲うと聞いていたので、私は草むらに隠れて、なんとかやり過ごすことができました

そしてしばらく歩くと畑が見えてきました

しかし畑に行くには道路を横切る必要があります

道路にはたまに「クルマ」という巨大な生物が通るので気をつけてわたらなければいけません

私はしっかりと左右を確認し、道路を渡ることができました

私はついに畑にたどり着きました

畑には丸い緑色の葉っぱに包まれている謎の植物がありました

これは一体なんだろうかと思い、見ていると上空にサギが飛んでいることに気が付きました

サギは恐ろしい鳥です

友達のアマオくんが食べられてしまったこともあります

そのため、私は急いで謎の植物の葉と葉の間に隠れました

友達を食べられたトラウマからか、恐怖でしばらくじっとしていました

そんなとき、突然その謎の植物が私を乗せたまま動き出しました

私はわけがわからず混乱してしまい、その日は一日中じっとしていました

私はどうやら寝てしまっていたようです

次に起きると、私の隠れている謎の植物は木の板の上に置かれていました

そして前を見ると目の前には人間がいました

人間は私に気がつくと、大きな手を使い私を持ち上げました

必死に抵抗しましたが人間の力にはかなうはずもなく、ついにつかまってしまいました

私は一貫の終わりかと思いましたが、その人間は私を殺さず優しく掴み、私を空の見えるところまで連れて行ってくれました

私は再び地面へと戻ってきたのです

しかし、私はあることに気が付きます

そこには田んぼも畑もなく、謎の建物が並んでいるだけなのです

この光景を見て、私は祖父から聞いたある話を思い出しました

この世には、「都会」という田んぼも畑もない人がたくさん住んでいる場所があるという話です

今まで冗談だと思っていたけどまさか本当に存在しているとは夢にも思いませんでした

私は仕方がないのでとりあえず近くにあった草むらで過ごすことにしました

この日から、私は都会のカエルになったのです

田んぼや畑がないことや、仲間と離れ離れになったことは少し寂しいけれど、蛇やサギがいないここも案外悪くないのではないかと考える今日このごろです

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