第14話 幽霊さん
「ちっ、なーんでよりによって暴言娘ちゃんのクラスまで来ないといけんのですかねぇ」
次の日。あたしはいつものように遅起きするはずでしたが、早朝にクソ悪魔に叩き起こされた挙句、急いで支度しないと鶏肉化させるぞと、アスタロト様のペットだったという白蛇を掴みながら脅してきたので、あたしは不本意ながら超久々に早起きして時間通りに登校しました。
……のはいいのですが、教室に着いた途端、クソ悪魔が宍倉さんに接触しろと煩いので、今は彼女のクラスである1-Aの前にいます。ちなみに宍倉さんの情報は昨日部活で昼休みでの騒動の話を持ち上げつつ、さりげなく部長に聞き出しました。
[それが貴様との契約なのだ。通算遅刻回数を更新せずに済んだと思え]
余計なお世話と流しながら教室内を見てみます。HRが始まるまでまだ時間はあるのですが、教室内はまばらに生徒の姿が伺えます。皆悠長に机に座ったりしながら世ダベったりスマホを見ていたり悠長に勉強していたりの三者三葉。
中には昨日の騒動の話をしている生徒もいますが、総じて内容は宍倉さんへのヘイトですね。ですが渦中の宍倉さんはクラスを見渡しても姿はありません。
「いないですねー風紀委員のだるーい仕事にでも行ってるんじゃないですか?」
[もっとよく探せ!あばよくば待ち続けろ!!!]
「だるーい」
とはいえ校門には御理瓦と数人の風紀委員しかいませんでした。宍倉さんはどこに行ってしまったのでしょうか。
と──
「南條先輩?」
「ほへ!?」
教室の扉の内側から黒髪ポニテの見たことない女子生徒がひょっこりと顔を見せ、話しかけてきました。
「ご無沙汰しております」
女子生徒はあたしに軽く頭を下げて挨拶してきます。
「あなた誰ですか?」
「そうでしたね。中宮高校怪現象研究部の
「怪現象研究部って……あ、あの幽霊ッ!?」
[言い方がいちいち失礼だな]
あたしが所属するオカ研は、あたしと部長含めて三人の生徒が加入しているのですが、残り一人は幽霊部員で一度も顔を合わせたことがありませんでした。それがこんな形で邂逅するなんて、びっくりです。
「幽霊さんここのクラスだったんですね!?」
「はい。一応クラスの代表委員も務めています」
代表委員ってことはクラスの代表なんですね。そんな重役についている方が何故幽霊やってるのでしょう。けどそんなことはどうでもいいです。
「代表……!!でしたら、このクラスに在籍してるはずの宍倉耀さんという方が今どこにいるか分かりませんか!?」
「宍倉さんなら、あの席ですけど……まだ登校してないみたいですね」
そう言って春原さんは目を向けますが、そこは空席どころか机の隅に荷物すらかけられていません。
「宍倉さんはだいたいいつもどのくらいに登校してるんですか?」
「そうですね……朝のHRの三十分前にはもう教室にいる印象なので、今日は忘れ物でもしたんですかね」
「そうですか。教えていただきありがとうございました」
「いいえ、お役に立てて良かったです」
礼儀正しい方ですね。本当に何故幽霊なのでしょう。
「幽霊さん……じゃなくて春原さん。一応言っときますけど。そろそろ部室に顔を出さないと部長が顔真っ赤にして突撃してくると思いますよ」
「あっ、すいません。今日の放課後は先生に用事頼まれてるので」
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