無人島に何持ってく?

@ponkot

水平線の向こう

 「無人島に行くなら何持ってく?」人類が生まれた時から使い古された会話だ。誰しも一度は考えたことがあるだろう。

 おれもあっちにいた時は、そんな会話が好きだった。学校の休み時間、水平線の向こうにある島を想像して、友達と馬鹿みたいに言い争いをしていた。あの時のおれはなんて答えたっけ。シルバニアファミリーとかか、知らんけど。思わず鼻で笑ってしまう。面白くもないのに。今だったら絶対……。

 雨が降ってきた。ボロボロに日焼けした肌に突き刺さる。何度目の雨だ。もう痛いのか、痛くないのかさえ分からない。

 水平線の向こう側の会話に、痛みはなかった。今もいるだろうか、ここをモチーフにして楽しく話している奴らは。

 それなら言いたい。そんなことは無駄だと。だって……ああ、可笑しくなってきた。ただただ広がる「青」に訴えても、無駄なことは幾度も喉を潰して知ったはずだ。

 「もう無人島じゃねえしな! おれがいるから!」

 だから……誰か。

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