第14話

あの後、わたくしはしこたまアレクに怒られた。

それはもう、あれほど怒られたのは幼少期に脱走の為に木に飛び移ろうとして失敗した時以来かしら。


確かに、先程の男性の件はわたくしも不用心だったと思っているわ。

けれど、アレクがいるから何とかなると思っていた、なんて言ったら更に怒られてしまったの。

確かにわたくしが悪いけど、そこはさすがにそこは理不尽ではなくて?


「ねえ、ジーク様もそうお思いでしょう?」

「何の話か一から説明してから聞いてくれないか」


君の悪癖だぞ。

生徒会の書類を整えながら苦笑するジーク様に、「失礼致しましたわ」と扇で口元を隠しながらわたくしも微笑んだ。

うん、今日もユリアは美しい。



※※※



例の不審者騒動から1週間。

学園は前期の定期テストの時期になっていた。


ルディア学園は名家の御子息御令嬢が通う、由緒ある学園だ。そして、この国きっての規模と難易度を誇る名門校でもある。


つまり、何が言いたいかというと。


「こちらの対策テスト、少々難易度が高すぎるのではなくて?」

「いや、最近の授業傾向からしても、このレベルが妥当だろう。」

「あら、まぁ……生徒の皆様の悲鳴が聞こえてくるかのようですわ」


どちゃくそ勉強が難しい、という事だ。


わたくしはもちろん、『ユリア』の為に、それはもう努力に努力を重ねて来たので成績は優秀だ。何せ学年トップを誇る。

そしてこれからも努力を怠る気はないので問題はない。

けれど、学園全ての方がそれを出来るか、と言えば答えは否でしょう。

人には向き不向き、というものもあるのだし。


さて、ここでルディア学園の生徒会を紹介しておきましょうか。

と、言っても、やはり見知った顔が多いのですけれど。


ルディアの学園生徒会は、おおよそ成績をメインに選出される。家柄も多少は考慮されるわね。

役職は生徒会長、副会長、書記、会計、広報、庶務。そして顧問という名の監査役の教師が1人という、計7名から構成されている。

うち、所謂『攻略対象』はジーク様を含めて3人。


攻略対象1人目は、言うまでもなく生徒会長であるジーク=リオ=ダイアその人だ。

彼については説明はいりませんことね。


2人目の書記はなんと、攻略対象でもあるレイ=オニキス様。

一匹狼キャラである彼は、けれど意外な事に学園行事やテスト等には意欲的である。

そして、とてもとても綺麗な字を書く方なのだ。


3人目は広報担当であるエリオット=グランディエライト様。

優しげな笑顔と温和な性格は、なるほど確かに広報にピッタリというものね。


そして、残る庶務と会計、副会長に監査役は──……


「ハンス先輩。こちら、お願いします」

「ああ、アクアさん。ありがとうございます」


反対のテーブルで会計資料を纏めている、庶務であるアクア=パール様と、会計を務めるハンス=アメシスト様。


「ラピスさん、ダイア王子。対策テストの進行は如何ですか?」

「あら、コンクシェル先生。御機嫌よう」

「ええ、今日で完成しそうです。ご確認願えますか?先生」


監査役であるチャーリー=コンクシェル先生。

そして副会長を務めるのがわたくし、ユリア=ラピスとなります。


改めて、どうぞよろしくお願い致しますね?

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