眠れない授業

お題 君の軽犯罪 


 眠い。ひたすらに眠い。

 僕は今本当に、いやマジでつまんない授業を受けている。古典の授業だけど一ミリも耳に入ってこない。何故かって?答えは単純明快。つまんないから。

 つまんない授業にも種類がある。ひとつは今みたいな何もすることもないただただ暇な授業。もう一つは指名される授業。後者は多少真面目に授業を受けないと恥をかくことになる。だけど今は前者。ほんとに暇。

 いつもなら寝てる。だってそれしかないから。あ、たまに落書きもする。

 でも寝ない。理由は一つ。君がいるから。

 君が寝てる。君の寝顔がチラッと見える。可愛い。ただただ可愛い。天然記念物レベル。尊いってこういう感情なんだと理解できる。

 たまに君の横顔を見ることはあるけど、寝顔は滅多にない。レアだ。こんな珍しいものを置いて寝れるわけがない。

 くっきりした顔立ちが美しい。黒髪のサラサラしたミディアムボブも改めてみると本当に可愛い。

 彼氏いるのかなぁ。付き合いたいなぁ。付き合えたらどうしよう。海行ったり、遊園地行ったりしたいなぁ。妄想がいつもの三倍くらい捗る。

 僕は妄想も相まってドキドキしている。それは一つの重要な事実に気づいてしまったから。

 それは君の寝顔を見ている者は僕ただ一人だということ。独占欲も満たされる。もう幸せ。

 もはや君の寝顔は軽犯罪級の代物だ。一人の男をここまでにしてしまったんだから。あぁ幸せ。

 授業終わりのチャイムが鳴った。寂しい。教室に帰ろう。

「ねぇ君。私のこと見すぎだよ」

 告訴されないことを祈る。

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