あたまがおかしい
グイ・ネクスト
第1話 わたしはバディ。世界一の悪魔ハンターだ。
わたしはバディ。世界一の悪魔(デーモン)ハンターだ。わたしは武器に恵まれた。オリハルコンの二つの短刀。防具にも恵まれ、ミスリル銀で編まれた踊り子の服。そしてペルセウスの羽がついた靴。おかげでわたしは32連撃という離れ業を持っている。そりゃ、どんな悪魔だっていちころだ。わかるでしょ。
そんなわたしが手こずっている。こんなはずじゃなかった。大悪魔だって、今までに何体も倒してきた。大悪魔指定を受けた人間に、それも同じ性別の、自分よりも若い女の子に、わたしは負けそうになっている。何が起きているんだろう。
「どうしたの?もう終わり?」と、長い黒髪で赤い目をした彼女は聞いて来る。
司教の法衣を着ているが、どう考えてもおかしい。
それも最上位の法衣を着ている。おかしい。元は貴族だったのだろうか。
「ううう。うるさーーーい」と、わたしは32連撃をお見舞いする。
それも二刀流だ。ざっと見積もっても32×2、64連という連続技。それも1秒のうちによ。負けるはずが無い。そう、そう思っていたわ。
「128」と、彼女はつぶやく。魔人たちが128体出現する。わたしは攻撃を防ぐので手いっぱい。どうなってんの?おかしいよ。
「はぁはぁ」
「ふふふ、すごいわねぇ、あなた。リティアの攻撃をここまで耐えた人初めて。うれしいわぁ」と、彼女、リティアは笑っている。と、油断でもしたのか、わたしの方へまっすぐ歩いてくる。
「油断したのね」と、わたしは32連撃を今度こそお見舞いする。
リティアと名乗った少女は油断などしてなかった。わたしの32連撃を紙一重でかわしながらわたしに近づいてくる。「ひぃ」
わたしは後ろへ飛んでしまった。
「つかまえた」と、リティアは言う。
「ッおご」と、何かをつかまれた。
「やわらかい。わかる?何をつかまれたか」
「……」
「ごめんねぇ、心臓つかまれてしゃべれるわけないよねぇ。リティアの本名はリスティア・ウィズ・クライン。ウィズ辺境伯の末娘。でも、リティアはぁ、悪魔たちがだーい好きなの。それから時々あなたみたいな、人間をつかまえて人形(ドール)にしているのよ。そうそう、英雄ジークフリートの名前を受け継いだ悪魔ハンターも人形にしたわねぇ。あれってあなたのお兄さんでしょう。リティアは物覚えいいんだぁ。そういう事だけわ。あーもちろん、自由意志は残してあげるわよぉ。いつでも目覚めたらリティアを殺しに来てねぇ」と、リティアはわたしの心臓をつぶした。
「うふふ、起きるのが楽しみぃ。バディ、早く起きてね」
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