皇女サリ

冬野ハナヤ

第0話 オプローグ

「ここはどこだろう」

頭が重たい。体の節々が悲鳴を上げている。身にまとう鎧が重たすぎて脱ぎ捨てたい。そんなことを無駄に感じながら、大剣を構える。

そこらかしこに倒れた遺体。敵か味方かももうわからないほど、思考は鈍っていた。今になって考えれば、中には知っている顔もいたんだろうけど、それよりも自身の直感が冴え始めて周りが見えていないような、しかし視野は広いような変な感覚の方が記憶に残っている。

敵大将は馬に跨り、こちらは地面と仲良しだ。

しばらく互いに睨みあい、どちらともなく駆け出した。


もう何も考えてはいなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る