7
それから一行は
こんなに
本来あるべき
しかしこの迷宮には魔術どころか炎や酸を吐くものすらまだ一匹も遭遇していない。精々が大きいだけ。
「あーこれ、いや、せやけど……うーん、そんなアホなやつおらんやろー……」
なにか察した顔でアズミが零す。
「なにかわかったのか?」
ラムザの問いに彼女は半笑いを浮かべた。
「いやまあまだ想像の範囲っちゅうか、とりあえず、今はまだ語るべきときではないんや。居住区か書斎でもありゃわかりそうなんやけどなあ」
「そりゃ奇遇だね。ご希望の部屋がありそうだよ」
ルピナスの指さした先にある扉は他のものに比べてずいぶんと小さい。標準的な人間サイズを想定した扉だ。つまりその先は
「俺は中に入っても役には立てんだろうから外で見張りをしていよう。ちょうど小腹が空いてきたところだ」
扉を通るのに手間取りそうなガロールはあっさりそういうとバックパックを下ろして中身の物色を始める。
「自分めっちゃ食うやん。そのバックパック全部食いもんなんちゃうやろな」
からかい気味に発せられたアズミの言葉に至極当然のように「だいたいそうだな」と答えて彼女を真顔にさせると、ひとの腕よりはありそうな大きなパンを丸ごと取り出してちぎっては齧りだす。
「まあなにが起こるともしれん。外にもひとり残ったほうがいいだろう」
ラムザが彼に賛成し、三人が中の部屋へ入ることになった。
中は古びたソファーや書斎机、壁面は梯子を必要とするほど大きな本棚が並んでいる。奥にも扉があってまだ先が続いているようだ。
「こらあちょいとかかりそうやな。奥は任せてアタシはここの調べもんさせてもらってええやろか」
「それじゃ私はそのあいだに奥を見てこようかね。ラムザはどうする?」
「俺はルピナスについていこう。アズミはなにかあれば大声で知らせればいいだろう」
「わかったで。まあさすがにこの部屋で事件は起こらんと思うけどな」
各々行動を決めると、アズミは早速本棚に目を通し始める。まずは本のタイトル、ぱっとわからないものはパラパラと開いて傾向だけ把握しておく。この部屋の雰囲気、間違いなく魔術士の書斎だ。研究内容についてはざっと蔵書を把握してからのほうが仕事が早い。
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