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身長三メートル、片手には人間の身長ほどもある大剣、逆手には鎧騎士ふたりはすっぽり匿えそうな大盾。なにもかもが規格外の一角巨人が踏み出すとそれだけで空気が震え埃が舞い上がる。
ノコノコと前に出た
大きいだけでなく、動きに鋭さがある。
もたもたしているあいだに囲まれて側面や背後に回られたら全滅では? アズミはそう考えていたが、ただひとり前衛を張るガロールが余りにも強過ぎた。
大剣を引く動きに連動して大盾を突き出して飛び掛かってきた後続の動きを阻み、そのまま横の壁へと押し込む。
「解せんな」
倒した
「なにがだい?」
攻めあぐねている
「弱過ぎる」
「まあ、そうだねえ」
すぐそばに転がっている死体は牛やら熊やらの部品がでたらめに組み合わさった感じの姿をしている。とりあえず並みの人間よりはかなり大きく、大抵はそれだけで十分な脅威となりうる。
「せやろか。アタシは結構強かった気ぃすんのやけど。ガロールやったらレスリングの相手にちょうどええくらいなんかもしれんけど普通の人間は熊と逢うたら死ぬで」
アズミは、地元に祀られる伝説の騎士が幼少のころ斧を担いで付近の山々を駆け回り熊と取っ組み合いをして鍛えたという伝承を思い出していた。もしかすると彼はオウガ族の血を引いていたのかも知れない。
「それはそうだが、そもそも
「んまあ、せやな」
「こいつは見た目こそ魔獣だが能力的には並みの野生動物と変わりない、むしろ歪な姿が弱体化を招いている。デカいだけではただの牛や熊のほうがまだマシというものだ」
「お、おう。さよか……」
規格外にデカいやつに言われるとめっちゃ微妙な気持ちになるな、とアズミは思ったがさすがに口には出さなかった。
「ちゅうことは失敗作なんやろか」
「かもしれん。
ガロールとアズミの考察を黙って聞いていたラムザが口を開いた。
「まあなんにせよ進んでみるしかあるまい。この中で魔術に一番詳しいのはアズミ、お前だ。なにかあれば報告せよ」
「んまあ了解やで。まかしとき」
「じゃあ話もまとまったところで悪いんだけどね」
ルピナスがうんざりしたような声を上げた。
「そろそろあいつらをなんとかしてくれないかい。私の銃弾は無限じゃないんだからね」
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