第22話 想像

 いきなり名前で呼ばれたことにも驚いたけど、質問自体にも驚いて口をつぐんだ。

 しばらく黙っていると河田さんは助け舟を出してくれる。


「じゃあこの返事は宿題。どうしても聞きたいから、絶対聞かせて」


 息をのんで思わずうなずいてしまった。

 丁度いいときに廊下にチャイムの音が響いた。「またね」教室に戻っていく。つられて俺も教室に戻って席についた。


「世界史始めるぞー」

「こばせーん! 世界史なんていいから体育やろうぜ」

「はあ? 何言ってんだ。」


 小林先生(こばせん)が板書を取り始める中、俺は頬杖をついて河田さんのことを考えていた。

 告白されたことは何度かあったけど、ここまで積極的な人は初めてだから緊張した。俺の何がそんなにいいのかわからない。

 河田さんは実梨に比べたら優秀だ。もし俺の幼馴染だったら良い意味で日々学ばされる気がする。男子にモテる顔をしているし、しっかりした性格か思いきや不意をつく一面までもっているからギャップ萌えはするだろう。もし付き合ったら、大人の恋愛を経験できるだろうな。それでも、頭の中に一番チラついているのは……。


カサッ__


紙の音がして机上の左端を見ると、二つ折りにたたんだ紙が置いてあった。多分目の前にいる実梨が置いたものだろうけど、なんで今?

 手にとって中を覗く。


“河田ちゃんと何話したの?”

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