第7話招かざる者
僕は堀の運転する車の中にいた。
「堀君、この事件なんかあるよ。一筋縄ではいかない何かが」
「警部考え過ぎですよ。直ぐに捕まえますよ犯人を」
「エライ自信だね」
「怪しいのは夏木です」
「君は短絡的過ぎる、それでよく刑事が勤まるね」
「す、すいません」
僕は夏木陽介に話しを聞きにいった。
堀は看護師長の山下由美の過去のトラブルに付いて話しを聞きに向かった。
「おはようございます、夏木さん」
夏木は大分症状が軽くなり、
「あんた、誰」
「私は愛知県警の黒井川です」
「オレになんの用だ?」
夏木は、寝ながら言った。
「あなた、10年前ここで事件を起こしてますね」
「知らん」
「そう言う事、記録に残ってんですよ」
「……」
夏木はベッドから身体を起こしてポツリポツリと話し始めた。
「お母さんを殺されたんだ。この病院に。最初お母さんは腹痛を訴えたんだ。だけど、看護師の山下は腹痛くらい軽い症状だから、順番をわざと後に回したんだ。そこで、平坂に診てもらうと、直ぐに緊急手術になったんだ。だけど、お母さんは死んだよ。感染性心内膜炎だったんだよ。だから、診察を後回しに指示をだした平坂と山下に恨みを持ってんだ」
夏木は涙を浮かばせていた。
僕は複雑な気持ちだった。
「夏木さん、ありがとう。早く元気になって下さいね」
「あ、あぁ。ありがとう」
堀が病院から出てきた。
「何か、医療事故だと、一方的に言われたらしいですね。看護師長は」
「そうか、ありがとう、あと夏木から目を離すなよ!」
「はっ」
僕はこの事件の犯人像が段々浮かび上がってきた。だが、ミスリードかもしれない。
取り敢えず、タバコに火をつけた。
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