第14話

「この家族の常識、他の大勢の人から見たらびっくりするな」と子供が言う。

ヘンテコ街道を一緒に歩いた家族の時間だった。

「みんな、しあわせをありがとう」というと

「それはこっちのセリフだ!」とわらうこども。

すっかり優しい目の、でもなにか自分の中心を持ち始めた青年になってきた。


数年後にはひとり暮らしをするかもしれないと子供が言い出した。


寝耳に水である。


ずっとこの一緒の暮らしが続くと思っていた。

はがされるようなさみしさがした。


でもきっと自分の幸せを見つけるたびに出るのだろう。

自分がそうだったように、色々な出会いがあるのだ。

阻まないでいようと思った。


誰も最初はできないが、人を想うきもちを

一緒に食べてねて、喧嘩してゆるしあって学び合ってきた。


離れていても家族だし、離れた人とも学び合える。

子どもたちも親も、これから大切な宝物が増える旅の途中なのだ。


きっとできる。ひとりではないから。

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