【KAC20225】お題「88歳」エルフに転生して88年、米が恋しい
テリヤキサンド
エルフに転生して88年、米が恋しい
異世界転生してからエルフとして生を受けてから88年。まだエルフの中では子供の年齢。
88歳というと人間でいえば、米寿。
なんでも米を解体すると八十八になるからだという。
米、この世界に来てから、エルフの住処である世界樹から出たことがない私はまだ、この世界に米があるかはわからなかった。
あるのであれば、探してみたい。
が、外界に出たエルフが無事に帰ってくる可能性はゼロに近い。
奴隷としてとらわれるか、獣の餌になるか、そのまま、外で暮らすか。
エルフという種族は世界樹のもとにいれば、加護の力で子沢山にもなるし、食料も大量生産できるので、自堕落に暮らしたとしてもその生を楽に終えることもできる。もっとも、その期間も長いが。
なので、外界に誰がでようと構わないのだ、世界樹さえあれば、自分達は安泰なのだから。
「父様、米が食べたいです。」
「いきなりなんだい?エリス。米ってどんな食べ物だい?」
「米というのは黄色の草の先についたものを集めてつくる。白いでふわっとした食べ物です。」
「・・・それはパンじゃないのか?」
「ちーがーいーまーす!」
「言われてもなんのことだかわからないよ。」
「わからないなら、わからないでいいです。外に出て探しますし。」
「外に出る?まだ、子供のエリスに外に出て生活でくるのかい?」
「ん、それは・・・。」
普段から自堕落に暮らしているせいで家事、サバイバルなと知識でしか知らないのだ。
下手したら、野垂れ死ねだろう。
「なんとかなります。」
「なんとかなるって根拠は?」
「運!」
「運って世界樹の元で暮らしている時点で運を使っているんじゃないかい?」
「まだまだ、残っているので大丈夫。」
「ああ、残っているのが自制する心ならよかったのに。」
「とにかく、外にいきます。」
「ああ、もうわかったわかった。エルフ特有の習性が出てきてしまったからにはしょうがない。せいぜい、頑張りなさい。」
「はい、行ってきます!」
「って、こら!なんの準備もしないでいかないの。せめて、武器と携帯食料くらいなもちなさい。」
そうして、私は父様の説得に成功(本人は成功したと思っている。)し、世界樹から旅立つことになったのだ。
「待ってろよ、米、今いってや」
ボキッ
あ、足元の枝が折れた。
「るうううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅ。」
しょっぱなからの落下からわかる通り、前途多難なエリスの旅が始まった・・・。
【KAC20225】お題「88歳」エルフに転生して88年、米が恋しい テリヤキサンド @teriyaki02a
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます