私の青春
雪うさぎ
第1話
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気を付けるのよー」
「はーい」
玄関から飛び出し門扉を開けると、彼女はすでに待っていた。
目が合って、挨拶を交わす。
「おはよう」
「おはよう、
私の名前を呼んだ
高校までの通学路を歩きながら話す。
「あっついね」
「ね。夏ってこんな暑かったっけ?」
「うーん…覚えてないや」
「なにそれ」
相変わらずなふわふわとした会話に笑みがこぼれる。
「時間無くて髪結べなかったんだよねー。
…あ、鈴ごめん。だいぶ待った?」
この暑さの中待たせてしまったのかと申し訳なく思ったが、鈴は全然待ってないから大丈夫、と言った。
でも鈴の真っ白な肌が焼けてしまうのは嫌だし、今度からはもう少し早く家を出られるように努力しよう。…努力するだけ。行動するとは言ってないもん。
アイスの味何が好き?なんて話をしていたら、いつの間にか校舎が見えていた。
校門の前に見慣れた姿を見つけ、駆け寄る。
「
「おはよう」
「朝からうるっさ!おはよ」
びっくりした…と文句を言う千歳は、私の幼馴染だ。
覚えていないほど小さい頃から小学校まで一緒だったのだが、中学生になる前に親の転勤で引っ越してしまった。
千歳は昔から運動が大好きで、肌はよく焼けているし、邪魔だからと言って髪を伸ばすことはしなかった。黒髪ショートの髪型はよく似合っていて、クラスの女子にかっこいいと人気だ。
対して鈴は、体が弱くて運動が出来ず、読書が好きで肌は真っ白。
色素の抜けた薄茶色の長い髪は幻想的で、私は大好きだけど、他の人たちからすると少し近寄り難いらしい。
正反対な二人だが、千歳も鈴も私の大切な親友だった。
高校で千歳に再開し、さらに私と千歳と鈴、三人が同じクラスなのを知ったときは今まで生きていた中で一番と言っても良いほど嬉しかった。
「千夏?」
「何やってんの、遅刻するぞー」
二人の声でハッとする。
「何でもなーい。行こ!」
私は二人の手を取って一歩、踏み出した。
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