クラスメイトとパーティーを組んだけど、僕らは何と戦えばいいんだろう?
さかもと。
プロローグ
「もうすぐだ・・・」
俺はパーティーの連中を振り返り、微笑んでみせた。
ボス戦の前には、勇者として、少しは余裕あるところを見せなくてはならない。
それが、パーティーを率いるリーダーとしてのあるべき姿だろう。
俺だって怖い。
相手がどれほどに恐ろしい相手か、よくわかっているつもりだ。
俺だけじゃない、このパーティー全員を簡単に潰すことができる魔物だ。
対戦には慎重すぎるほどに慎重な行動をしなくてはならないだろう。
でも、きっと大丈夫だ。
俺はパーティーの連中を信じていた。
頼もしい仲間が、3人も揃っているんだ。
力を合わせれば、どんな敵でも倒せそうな気がする。
「いいか、まず、相手に出逢ったら、頭を下げろ」
賢者の黄野が声をひそめて俺らにそう伝える。
メガネの奥のクールな瞳は、こんな緊迫した場面でも落ち着いている。
頭脳明晰な彼が綿密な作戦を立ててくれるから頼もしい。
「ああ、わかってる」
戦士の青山がうなずいた。
「頭上攻撃されないように気をつけるよ」
「もちろんだ。腰かがめていこうぜ」
血気盛んな青山も、黄野の作戦には素直に従う。
だからこそ僕らは、ひとりの脱落者もなく、今日までやってこれたのだ。
勇者の俺と、賢者の黄野、そして戦士の青山。
敵に挑む気まんまんの俺らと・・・そしてあともうひとり。
「だ、だいじょうぶなのかな? 今から突撃しちゃっても・・・」
おろおろした声で、俺らの後についてくる占い師の桃井。
涙目になっていて、かなり怖がっている。
「大丈夫だって」
青山が桃井の頭をぽんと叩く。
「お前、占って来なかったのかな?」
「カードは1枚引いてきたよ」
「そしたら、どうだったんだ?」
「うん、「光あり」というカードが出たから希望はありそう」
「なら、そんなにビビるなよ」
夕暮れ時で、僕らがいる廊下は薄暗くなっている。
僕らは壁沿いにそろそろと進み始めた。
行くのだ。我々の宝を奪還しに。
扉の向こうからは、明かりが漏れている。
何ものかが蠢く気配はする。
いるのだ。
必ず、ヤツはいる。
そんな確信に、手汗がぶわっとにじみ出る。
「いくぞ」
低い声で俺はパーティーに告げると、指に力を込め、扉を一気に開いた。
あっけない程簡単に、それはガラガラと横に開いた。
そして、目指す敵は、目の前にいた。
「なんだ? お前ら・・・」
須藤先生を前に、俺らは一斉に頭を下げた。
「先生ッ! お願いしますッ! 没収したスマホを返してください!」
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