性春!アナーキー!!

かっぴーTAKA

アジャイル・しおみ編

第1話 目覚め

「おきて...おきて...」


耳元で誰かが囁いている。

重い瞼を開き、横を見ると、そこには学校一のブサイクの異名を持つアジャイル・しおみが俺を見つめていた。


何が起きたのか、脳がこの状況を理解するのを拒んだ。

しかし、俺の思いとは裏腹に昨晩の出来事が、超高画質で鮮明に、脳裏で再生され始めた。


昨日の放課後、俺はいつものように、勉強の疲れを全裸徘徊によって晴らしていた。

校内に人が居なくなるまで図書館で待機し、午後6時、俺は満を持して全裸になり、自分を解放した。

そこまでは良かった。

暫く校内を四つん這いで這いずり回っていた俺だが、気の迷いで絶対に入っては行けないと言われている校舎裏の女子トイレに行くことにした。


曰く幽霊が出るとか、ヤンキーに襲われるとか、そんな噂が後を絶たない。

しかし俺は知っていた。

あそこには痴女が出るのだ。

昼の休み時間に陽キャ達が今日の放課後行ってみようぜと盛り上がっているのをたまたま聞いていた。

この時間ならば陽キャ共はいるまい。

真っ最中だとしても、影からこっそり覗くのも面白いだろう。


これがいけなかった。

ここからは想像通りだ。

噂の痴女とはしおみの事だった。

女子トイレの床には陽キャ共の亡骸が転がっている。

たっぷりと搾り取られたのだろう。

痴女の正体が学校一のブサイクだと知ってガン萎えした俺は速攻で帰ろうとしたが、逃げようとした先に、野球部の集団がたむろしていた。

俺は覚悟した。

野球部に見つかって生き恥を晒すくらいならしおみに見つかった方がましだ。

しおみも俺と同じボッチだし、誰かに言うことは無いだろう。

しかし...終わってるな。ボッチでビッチとか。


という訳で、無事しおみに捕まった俺は、ホテルに連行された。

もう暗いからという理由らしかったが、俺はこの時点で悟っていた。

これ朝まで帰れないやつだ...。


今思い返しても酷いな...。

今日は木曜日、まだ学校はある。

しおみはまだヤる気だったが、流石に学校をサボる訳にはいかない。

今しおみとサボれば、陽キャ共によってバレてしまうに違いない。

それだけは避けたかった。


「しおみ、お前は先に学校に行っててくれ。俺は用事を済ませてから行くから」

勿論用事などない。

一緒に通学でもしてみろ。

変な噂がたつに決まっているだろうが。

それにブサイクと初めての夜を共にしたんだ。

俺の気は滅入っていた。


「分かったわ。ダーリン!」

おえっ、ダーリンは辞めろ。

どうやらしおみは俺が気に入ったようだ。

自慢ではないが、俺はかなりでかい。

陽キャ共のブツをチラリと見たが、あれの三倍くらいはあるだろう。

それが理由かは知らないが、性格が悪くて、学校でもずっと不機嫌なしおみがやたら上機嫌なのだ。

ブサイクに好かれるほど虚しいものは無い。

しかも理由はブツの大きさ。

更に虚しさが増す。


しおみが部屋を出てから十分ほどが経過したのを確認して、俺はホテルを後にした。

制服はしおみに連行される際、回収済みだ。

ホテル代は俺持ちである。

ああ、学校、行きたくねぇな...

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