第17話 0章 終演

「・・・父さん? 母さん・・・?」

目を覚ますと、目の前には白い天井が広がっていた。

(ここは・・・? あれ、生きてるのか・・・?)

周りを見渡すと、ベッドの上にあることはわかった。

戦闘の後、気を失ってからそれでここに運ばれたことが予想できる。

「・・・! あいつは!?」

身体を起こそうとした手をついた瞬間、激痛が走った。 

「・・・った。 脇腹が折れてるな。」 

(だれかいないのか・・・ ナースコールを。)

ナースさんが来てからは、安静にしてくださいとのことで何も教えてくれなかった。



―――― コンコン ――――

目を覚ましてから4時間後、ソラ君が病室に姿を現した。

「目を覚ましましたか。よかったです。」

「ソラ君! あいつはどうなった!?」

あの後どうなったか早く知りたかったが、ソラ君はいつも通り冷静に語り始めた。


「あの夜、特異魔”アバドン”はあなたが祓いました。 そのあと、僕があなたを担いでここまで運びました。」

(そうか、祓えたのか。奇跡だな。)

「上層部への報告もこちらで対応しましたので、あなたが今から緊急で対応することはないです。 まずは、ケガを治すこと優先です。」

「そうか、ソラ君がいてくれてよかったよ。」

「1週間後、迎えに上がります。 それまでは安静にお願い致します。」

(無視された! この前の任務で仲良くなれたと思ったのに!)

「では、失礼します。 次の任務は次に来た時にお伝えしますので。」

そう言うと、ソラ君は病室を出て行こうと立ちあがった。

「ソラ君。 いろいろ本当にありがとう。 またよろしく。」

彼はペコっとお辞儀をして出て行った。


彼がさって行った後の病室は静かな空気に包まれた。

(もっと強くならないと。 これは僕の力じゃない。もっと訓練して、扱えるようにならないと。)

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