第二章:監視者たち

(1)

「たのむ、あとメダル百枚分だけ……」

「センセイ、もう夜も遅いですよ……」

「じゃあ、メダル五〇枚だけ……」

「いい加減にして下さい」

 俺達は予約していたホテルに入り……そして、そこの地下にたまたまカジノが有った。

 「観光」に来た地方議員と云う設定だったので、そのフリでもしとくか……と思ったが……。

 ポーカーとかブラックジャックなんかは、ルールを良く知らない。

 仮にルールを知ってたとしても、心理戦中心のゲームである以上は……まぁ、この一〇年ほど、感情が顔に出易くなってるんで、絶対にカモられる。

 大体、そんな御上品なゲームは、根が下品な俺には向いてない事ぐらい自覚してる。

 なので、スロットでもやるかと思ってそっちを2時間ばかりやった結果……見事にカモとなった。

 その2時間の間に、昨日までの生活費の半月分くらいが消えた。

 だが……。

「金なら有るんだろ? ケチケチすんなよ」

「部屋に女でも呼びますので……」

「はぁ?」

「そっちの方が安く付きそうなので、この調子だと」

「いいよ。この十年、ご無沙汰なんで、やり方なんて忘れちまった。……待て、女って……どんな女だ?」

 ふと、ある嫌な予感が脳裏によぎる。

「ちょっと待って下さい……」

 吾朗は携帯電話ブンコPhoneで何かを調べて……。

「どうした……」

「センセイ……その……」

 吾朗が見せた携帯電話ブンコPhoneの画面に映っていたのは……。

「おい……俺は、ロリコンなんかじゃね〜ぞ。俺だって誉められた人間じゃね〜が、一応は倫理感とか道徳とか、そんなモノぐらい……」

「これが……その……ここで一番人気の『女』だそうです」

「いくつだ、このガキども?」

「い……いや、その……」

「大体、このガキの着てる衣装は何だ?」

 画面に映ってるメスガキどもが着てるモノは……萌え系アニメに出て来る何かのロボットのパイロット・スーツみたいな代物だった。

「で……ですから……このホテルに来る前に見た見世物の……」

「えっ?」

「あの見世物の『国防戦機』のパイロットを……その……こう云う『女』として呼べるんです……。ここでは……」

「ど……どこまで、腐ってんだよ、ここは……?」

 俺は……溜息を付いた。

「じゃ……エロ無しのマッサージでいい。エロ無しだから美人じゃなくてもいい。腕さえ良ければ、爺さんでも何なら二目と見られねぇ『妖怪』系でもかまわん」

「わかりました……」

「一っ風呂ぷろ浴びた後にしたいんで……一時間後ぐらいに二時間ぐらいのコースを頼んでくれ」

 地方議員と云う設定だが……ほんの二〜三日前まで肉体労働者だったんで……体のあっちこっちの筋肉がガチガチに固まってる。

 折角のチャンスなんで、久し振りに、少しはマトモに動かせる体に戻すのも有りだろう……。

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