魔王のお仕事?魔王が推し事!〜幹部の日常は世界征服よりモフモフとキモカワを愛でたい魔王様(ょうじょ)を愛でるだけの簡単な推し事です〜
陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中
第1話 春の風物詩
「春ですなあ。」
「春ですねえ。」
魔界にも春はある。
春の風物詩で、アラクネという、上半身が人型の女性で、下半身が蜘蛛の魔物の子どもたちの、旅立ちが見られるのだ。
魔王様につかえる幹部である、俺、嫉妬のレヴィアタンは、同じく幹部である怠惰のベルフェゴールとともに、魔王カキリア様(ょうじょ)と共に、その春の風物詩を眺めに来ていた。
将来は豊かな乳房の女性になるものの、現在はまだまだツルッとしたお胸の、上半身は薄い紫、下半身は濃い紫の蜘蛛の姿をしたアラクネの子どもたちが、一生懸命に木の上に登っている。
そして、オシリから出した糸を木にくくりつけ、全員で手を繋いで、わーっ、とかけ声と共に木の上から笑顔で飛び出すのだ。風に舞い散る花びらと、アラクネの子どもたち。とても美しく愛らしい光景である。
風にのって伸ばした糸を途中で切って、空の上で笑顔でお互いに手を振りながら、それぞれが新しいすみかへと散っていくのだが。
──べしゃっ。
一体のアラクネの子どもが、途中で糸が切れて地面に叩きつけられる。
泣くのを我慢しながら、再び1人で木の上に登りだす。それを心配そうに見ている、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)。
そして再び、たった1人で木に糸をくくりつけ、笑顔で、わーっ、と飛び出すも、再び糸が途中で切れて、べしゃっと地面に叩きつけられてしまう。
ついにはあたりはばかることなく、エッエッと泣き出してしまい、それでも再び木の上に登って、なんとか風にのって飛び立とうとするのだが。
やっぱり糸が切れて地面に叩きつけられ、大泣きしてしまったアラクネの子どもに、我らが魔王カキリア様(ょうじょ)が駆け寄り、心配そうな表情で俺たちを見上げてくる。
「……城に一緒に連れて帰りましょうか。」
そんなわけで、アラクネの子どもが一体、お城で暮らすことになりました。
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