第25話【三人一緒にお風呂はいろいろとヤバイ】
夕食を終え、三人で暫しの談笑に花を咲かせたあと、順次入浴する流れになった。
「俺は一番最後でいいよ。順番はセレンさんと
まぁ、こういう場合は女性陣に先に入ってもらった方がいいだろう。
俺が先に入ると、セレンさんは大丈夫でも紫音の奴が嫌がりそうだ。
「
そうきたかぁ......ていうか、俺は紫音にどういう人間だと認識されているんだ?
「それでしたら、三人で一緒に入浴なんていかがでしょう」
さらっと恐ろしい提案をしたのは、湯呑で熱々の緑茶を静かに『ずず』と飲んでいるセレンさんだった。
「お泊り会でみんな一緒にお風呂に入るのは、定番中の定番のイベントではありませんか」
「セレンさん、メンツ考えて。できるか!」
「あれは全員が幼い子供、または同姓だから成立するのであって、このメンバーでやったらただの
我が家の風呂場は広いので、大人三人でもその気になれば入れるには入れる。
湯舟は流石に無理だろうが。
「みんなで仲良くお背中の流し合い......私の夢だったのですのに」
異世界方面の出身者の方の夢をぶち壊して申し訳ないが、俺とセレンさんは関係上ギリ許されても、そこに紫音が混ざると意味合いが変わってしまうので倫理的にアウトだ。
「要するにお互い裸でなければ何の問題もないと推測しました。でしたら晴人さん、せめて紫音さんのお背中だけでも流してあげてください」
セレンさんは懇願する。
いい加減言い飽きたが、俺と紫音は全く付き合っていない。
中高と偶然クラスが同じの腐れ縁同級生で、それ以上の繋がりはない。
見ろ、紫音だって顔を真っ赤にして、どうしていいかわからずに黙って俯いてしまって
いる。
恋人同士や夫婦ならわかるが、俺と紫音の関係性でやることではない。
他のもてなし方ならいくらでもやってやるが、これだけは勘弁してくれ。
「......セレンさんも一緒だったら......いいよ」
連れ〇ョン理論で紫音はまさかの同意をしてしまう。
「待て待て待て。それじゃ俺一人が服着てるだけで、最初とほとんど状況変わってないだろ」
「紫音さんもやっぱり三人でお風呂入りたかったのですね」
「セレンさんごめん、ちょっと黙ってて」
「晴人もセレンさんには日頃からお世話になっているんだし、私だけしてもらうのは不公平」
その点に関しては本当に感謝している。
でもなんで今?
「安心しました。一緒のお風呂を断られてしまったので私、紫音さんに嫌われているものかと」
「そんなわけないじゃん。晴人が反抗期になっても、私だけはずっとセレンさんの味方でいるよ」
女性陣二人は俺を無視して自分達の世界へと移行する。
「晴人さんはお料理も家事も得意なので、きっとお背中を洗うのもお上手ですよ。二人で気持ちよくなりましょうね」
俺を無視して女性陣二人がはしゃぎだす。
男子が入り込む予知のない空気が既に出来上がっており、もはや拒むことはできそうにない。
「......わかりました。二人のお背中、誠心誠意流させていただきます」
諦めの境地に達した俺は、二人にお風呂に入るように促した。
当初セレンさんが言っていた三人でお風呂に入る、という倫理的NGよりかは幾分気が楽なわけだし。
紫音は無理でも、セレンさんの方は流石に水着を着るだろう。
着替えを取りに向かうセレンさんの背中を眺める俺の脳裏には、漆黒のビキニ姿のセレンさんが現れ、刺激的な背中を差し出していた。
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