第10話 竜の番人が待ち構える

 俺の装備は紆余曲折ありつつも、ある程度順調に整っていった。


 ウォーウルフを相手にするくらいなら問題なく対処できるようになってきた。


 だが、ここで問題が起こった。


「……ん? なんだ?」


 バサバサ。翼が羽ばたく音が聞こえる。


 ドスン。


 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 巨大な咆哮が耳をつんざく。


 俺が歩いていた時、突如として巨大な竜(ドラゴン)が出現したのだ。


「う、うわっ!」


 竜(ドラゴン)は俺の前に立ちはだかる。


 どうする? ……俺は高速で思考を巡らせる。いくら『ミスリルブレード』を手にしているとはいえ、相手は竜(ドラゴン)だ。ウォーウルフを相手にする時のようにはいかない。竜(ドラゴン)は堅い皮膚を持った強力なモンスターだ。


 勿論、強い点はそこだけではないが……。


 考えているうちに、竜(ドラゴン)が行動(アクション)を起こしてきた。大きな口を広げた。


 ――そして。


 炎の息吹(ブレス)を放ってきたのであった。


「くっ!」


 俺はその攻撃を手に入れたばかりの『ウッドシールド』で凌ぐ。だが、少し考えればわかるように、『ウッドシールド』は木を原材料としている。炎属性の攻撃は『ウッドシールド』の弱点である。


 その結果、一度の攻撃で『ウッドシールド』は焼失してしまった。


「……ちっ!」


 俺は舌打ちする。破れかぶれだった。防具を失った俺は残る『ミスリルブレード』で、竜(ドラゴン)に斬りかかる。


「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 キィン!


 甲高い音がした。竜(ドラゴン)の皮膚は鋼鉄のように硬いのだ。いくら『ミスリルブレード』であっても、思うようにダメージを与えられない。

 竜(ドラゴン)はビクともしていない。


「くっ! ……」


 このまま闘っても竜(ドラゴン)を倒す事なんて出来るはずもない。命を落とすだけだ。


 俺ができる事は一つだった。撤退する以外になかったのだ。


 ◇


 撤退した俺は身を潜め、今後の身の振り方を考える。先に進む為にはどうすればいいのか? この場に留まっていたとしてもどうしようもない。いずれは前に進まなければならない。で、あったのならばどうするか?

 

 あの竜(ドラゴン)は強敵だ。だが、必ずしも闘う必要はないかもしれない。何とか迂回して、闘わずに済む方法はないものか? だが、周辺を調べた結果、その方法が取れない事が判明した。


どうやらあの竜(ドラゴン)はここより先に進む為にどうしても避けては通れる相手のようだ。


 俺は竜(ドラゴン)を倒す術を模索する以外になかった。


 そこで俺の次なる目的は二つに要約された。


 一つがもっと強い武器を手に入れる事だった。あの竜(ドラゴン)の皮膚を打ち破れるくらいの武器。その武器を作る為にはもっと強固な素材が必要だろう。竜の皮膚を打ち破れるくらい硬質な素材。『ミスリル』よりも強固な素材と言えば『オリハルコン』か『アダマンタイト』だろう。

 その素材を使用した武器を作る必要性があった。


 そして防具を作る必要性があった。あの『ウッドシールド』ではとてもあの竜(ドラゴン)の息吹(ブレス)を防ぎ切る事はできなかった。炎属性に強い防具を作り出す必要性があった。


 こうして俺はこの二つの目的を達成する為に動き出す事になったのだ。まずはより硬質な素材を見つける為、俺は探索作業を始める事となる。





 

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