第98話 ん//
自然と俺の口から飛びだした言葉に、
「本当、現実にこんな事起きるのね」
と、氷見谷もうんうんと納得する。
俺に押し倒される氷見谷………………見れば見るほどエロい。
美少女が汗ばんで少し頬を赤くしている所が、俺の性癖にぶっ刺さる。
「ちょっと、もうエロマンガ展開はいいんじゃないかしら?」
そんな俺に、氷見谷は細い目を向ける。
「襲われそうで身の危険を感じたんだけど」
「あ、すまん」
謝り、すぐに体を起こす俺。
でもな、これいつも千葉がお前にされてることなんだぞ?
あいつは喜んで襲われてるだろうけど。
「早く散らばったもの片付けましょ」
「だな」
マットに座る俺たちは、立ち上がろうとすると、
「羽彩~?いるの~?」
倉庫のドアが開くと、千葉の声が聞こえた。
「立川くん隠れて!」
「あ、ちょ……………!」
氷見谷に手を引っ張られると、俺はマットに氷見谷を押し倒す形になる。
『んお前何すんだよ!』
バレないように、声を抑えながら怒鳴る。
『仕方ないじゃない。ここがちょうど跳び箱で死角になってるんだから』
『いやまぁそうなんだけど』
マットの横には俺が先程移動しておいて跳び箱、それを挟み少し先には倉庫の扉、ないし千葉がいるという訳だ。
跳び箱移動しておいてよかったー。奇跡だろこれ。
もし移動してなかったら、千葉に犯罪者扱いされる所だっただぞ俺。
それに、「私の羽彩が取られたー!」とか「どこまでしたの!」とか言われそうだ。
あれだ、これもホテルの時の逆バージョン。
「あれ?ここにいると思ったんだけど……まさか違う場所まで取りに行ったとか?」
独り言をぶつぶつと言いながら扉の前に立ちすくむ千葉。
この調子だとすぐにいなくなりそうだ。
『しばらくこの体勢でいましょ。下手に動いて音を立てても困るし』
『だな…………でもこの体勢………』
色々マズイんだよな。特に俺の下半身が。
氷見谷から漂ういい匂いと、なんともエロい姿。
俺の下半身が限界を迎えそうだ。
『少しくら我慢しないさい』
『んなこと言ってもなぁ』
お前にギンギンなのを当たらないように努力してるんだよ俺だって。
『ここでバレたら元も子もないわよ?』
『別に俺たち悪いことしてるわけじゃないんだけどな?』
『だとしても、心葉がこの光景を見れば誤解にするに決まってるわ』
『それはそうだ』
事情を知らなかったらただ俺が氷見谷を押し倒して襲おうとしたようにしか見えないからな。
必死に色々とキツい体勢に耐えていると、
「他の場所探すしかないわね」
と、千葉は不機嫌そうな声色で言いながら、倉庫の扉を閉めた。
『た、助かった〜』
安堵のため息を吐き、少し楽な体勢を取ろうとしたが、刹那。
『ん//』
氷見谷が喘ぎ出した。
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