第91話 特殊性癖

 このままじゃ俺までダメになる。刺激しないようにゆっくりと手を退かそう。

 千葉に触れないように、そっと下に手を抜くが、


『やんっ//―――――どこ触って//』


 指先が千葉の下の突起物に当たってしまった。

 こいつ…………この状況で興奮してやがる、変態だ。俺にも特大ブーメランが刺さるけど。


『ごめ、手を引っ込めようと』


『いいから―――動くと当たる』


『す、すまん』


 千葉の熱い吐息が首に掛かる。

 なんだこの特殊で違う癖に目覚めそうなエッチさは。

 氷見谷は千葉みたいに俺も特殊性癖が目覚めそうだ。


「取ったなら早くいこーぜ~」「おうよ~、待たせてすまん」


 外から声が聞こえると、ドアが閉まる音がした。


『行ったか?』


『……………そうみたいね』


『ちょっと待て、覗いてみる』


 と、隙間から教室内を見る。


『誰もいないみたいだな』


『なら早く出てよ、早く』


『分かってるわそんくらい』


 ムスッとした顔をする千葉に、俺は体を動かしながら答える。

 千葉の股から手を退かし、ドア方へ持ってこようとすると、


『あんっ//』


 過去一大きい喘ぎ声が千葉から発せられた。


「ん?今なんか声しなかったか?」「確かに、なんかしたな」


 廊下から微かにクラスメイトの声が聞こえる。


『ちょ、お前何考えてるんだよ!』


 咄嗟に、俺は千葉の口を抑える。


『んっ――んんん~!!んん!』


『いいから喋んな見つかるだろ』



『んん!んんん~んん!』


『喋んなっていってんだろ!』


 チラチラと、教室の中を確認しながら息を殺す。


「誰か隠れてるのか~」


 と、徐々に開く教室のドア。

 マズい、非常にマズい。教室で2人で作業してるのを見られるよりよっぽどヤバいぞこれ。


 頼むからこっちに来ないでくれ。

 ゴクリと唾を飲み、祈る俺。

 その時、


「あら、2人ともどうしたの?」


 外から聞こえる聞き覚えのある声。


「氷見谷さん、どうしたんですか?こんな所で」


 救世主、氷見谷が現れた。

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