第38話 2キロ太ったの!

一週間後。

何事もなく、学校生活は送れているものの、金曜日の放課後は一週間前みたいに平穏に過ごせるわけもなく…………わけもなく………………


「きゃっ、羽彩やったわね~」


「あらあら、無防備なあなたが悪いんじゃない」


「この~!」


「そうはさせないわよ!」


「お前ら、ダイエットでプール来たんじゃないのか?」


俺達は今、プール施設に来ている。



              *



「…………昨日体重計に乗ったら地獄を見たわ」


前日のお昼。裏庭にて俺、氷見谷、千葉の3人でお昼ご飯を食べている時、千葉がササミスティックをちまちまと食べながら言った。


言い忘れていたが、あの教室百合事件が起きた日から、人が来ない裏庭でお昼ご飯を3人で食べることが日課になっている。

理由は知らない。千葉が勝手に決めたから。


「太ったって事か?」


唐揚げを頬張りながら聞くと、


「そうよ!太ったのよ!ブタになったのよ!」


千葉は絶叫した。


「全然太ったように見えないけど」


「どこがよ!完璧に太ってるじゃない!」


「確かに、少しだけエッチしている時に違和感はあったわね」


「どんな違和感だ?」


「中の圧が少し強かった気もしたし、どこか抱き心地が良くなってたような気もするわ。胸も少しだけ大きく感じたし」


「うーん、気のせいではなさそうか?」


「ええ?気のせいではないと思うわ」


「気にするわよ!あとさりげなくエッチしたとか言うんじゃないわよ!2人で話を進めるな!」


もう、2人がいつどこで百合をしていても驚かなくなった。この前、プリクラの中でシたと聞いたが無反応だった自分が怖い。


「…………ちょっと大きくなった?」


胸が大きくなった事に、自分の胸を触りながらにやける千葉に、


「ちなみにだが、何キロくらい太ったんだ?」


自分で言うのもなんだが、デリカシーがない質問をした。

だが、ちゃんと理由はある。


「なんで言わなきゃいけないのよ!」


「いや、ダイエットの方法でも考えようかと」


赤面する千葉に提案すると、


「…………キロ」


「え?なんて?」


「…………ぃ………キロ」


「聞こえないっての」


「2キロ太ったの!」


「たったの2キロだけ?」


「たったじゃないわよ!バカじゃないの!」


2キロなんて、焼肉食べ放題行ったら余裕でそのくらい体重は増えるし、翌日には元の体重に戻っている。

それに、2キロくらい普通に過ごしていれば痩せるものだ。すぐに痩せたいなら自転車を漕ぐくらいで痩せる。


しかも、2キロくらいで体型は変わるものなのか?胸は一旦置いておいて。


5キロ以上太ったなら分かるが、たったの2キロで変わるものなのか?女子はそうゆう生き物なのか?


胸は見た限り変わってなさそうだから気にしない方がいいと思うけど、嬉しそうにしている所なんだが。


「2キロね……………大問題だわ」


意外にも、深刻そうな顔を浮かべたのは氷見谷だった。

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