第24話 10分間頑張りなさい?

「帰ったらダメよ?」


 次は千葉の服を脱がしながら言う氷見谷。


「なんでだよ」


「本当はデザート食べながら話したいことがあって」


「変な話じゃないだろうな」


「私が変な話をするとでも?」


「大いに思ってるよ!?」


「一応理由を聞いても?」


「これまでのやり取り全部を通してだよ!」


 おい!よく『私なにかしたかしら?』みたいな顔できるよな。

 あの会話を聞いてから疑わない方がおかしいだろ。逆にまともな話をされた方が変だわ。


 それに千葉の裸体をデザートにしながらまともな話が出来るか!デザートにしないけど!


「あ、ちなみに千葉をデザートにはしないからな。ケーキとかだったら話は聞いてあげてもいいけど」


 氷見谷がちゃんと理解しているか不安なので念を押して言うと、


「え?千葉じゃなくてケーキがいいの?」


 やっぱり人の話を聞いていなかった。


「さっきから言ってるだろ!俺は」


「私はてっきり千葉の甘い所を舐めたいのかと」


「言ってね~わ!しかも甘い所ってなんだよ」


「もちろんおっぱいよ!」


「……………ダメだこいつ………」


 俺は頭を抱えた。

 本格的に話が通じない。挙句の果てにおっぱいが甘いとか言ってるし。

 一回親御さんに許可取って精神科にでも連れてってやろうかな。

 どうせ、診断結果は『性欲異常分泌淫乱症候群』とかだろうけど。


「千葉、こいつをどうにかしてくれ」


 最終的に、俺は千葉に頼った。


「私にどうしろと?」


「それを聞いてるんだろ?」


「どうしよもないわよ」


「なんでだよ」


「だって、いつも通りだもの」


「――――――それはどうしようもないな」


 詰みのようだ。

 てか、普段からこれって相当だな。よく千葉も耐えられたものだ。

 開発まがいな事されてるから耐えられても不思議ではないけど、どこか精神的にきそうだ。


『一つ案があるとしたら、10分間氷見谷と話をしててちょうだい』


 千葉は俺に近づき耳打ちをすると、人差し指を立て片目を瞑る。


『なぜ10分』


『その間に私はコンビニでケーキを買ってくる』


『…………俺その間生きてられるかな?』


『せいぜい襲われないように頑張りなさい』


『エロゲーと逆のシチュエーションなのに萌えないのは恐怖心を抱いてるからなのか?』


『うわっ、なんかキモい』


『心に効く言い方はやめてくれ。あとそれ結構ブーメランだからな?』


 人の机を愛液まみれにした方がよっぽどキモいわ。

 とか言うと逆ギレされてしまうので心の中でとどめておいた。


『じゃ、私は買ってくるから頼んだわよ』


 千葉はそう言うと、氷見谷に小声で何かを伝言し、リビングを後にした。


「どうなるんだよ、マジで」


 次回、立川千聖  死す?


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