第23話 そこに叩きやすい顔があったから

「私は上から攻めるから、立川くんは下から攻めてちょうだい。そうしたらまんべんなく食べれるでしょ?」


「俺がいつ一緒に千葉を食べるって言った!?」


「え?食べないの?」


「食べないわ!てか食うって表現やめろ!」


 ポカンとした表情をする氷見谷に、俺はマジレスをする。


「ッ――――っ//」


 俺達のやり取りを聞いていた千葉は、甲高い声を出しながら顔を茹で上がらせていた。


「心葉いいでしょ?私と立川くんに美味しく頂かれないさい?」


「嫌に決まってるでしょうが!」


 絶叫と共に繰り出される平手打ちが俺の頬を綺麗にとらえた。


「痛ってぇぇ……………何すんだよお前!」


 じんじんと痛む頬を抑えながら千葉を怒鳴ると、


「勝手に変な話をするからビンタしたのよ!」


「あの話の発端は氷見谷なんだけど!?」


「だからなによ」


「普通ビンタするのは俺じゃなくて氷見谷だろ」


「氷見谷は叩けないわよ。絶対」


「だからってなんで俺に当たってくる」


「すぐそこに叩きやすい顔があったから」


「そこに山があったからみたいな言い方をするな!それに叩きやすいってなんだよ!」


「なんかムカつくしてる顔してて、叩きやすいなって」


「この顔は元々だよ!」


「だからいつもパンチしたくなるのね。納得納得」


「ムカつく顔で悪かったな!あとその顔やめろ!」


 手の平をポン叩く千葉。

 クソムカつくなこの野郎。俺より絶対ウザい顔してるだろ。


 しかもムカつく顔ってなんだよ。遠回しにブスって言ってんのか?それなら俺もツンデレ貧乳って言い返してやるぞ。


「心葉してくれないの?もしかして私にされるの嫌になった?」


 氷見谷は千葉の隣に行くと、太ももを摩りながら上目遣いで言った。


「ちがっ………それは…………嫌になってないけど…………こいつがいるし……………」


 顔は赤いが、さっきとは違う赤さになる千葉。


「私が立川くんも一緒にさせるって言ったらどうする?命令って言ったら?」


 耳元で囁く。

 吐息でビクッと体を震え上がらせながらも、


「………我慢―――する」


「立川くんに見られるくらいならいいの?」


「ちょっと嫌だけど…………そのくらいなら…………大丈夫」


「これから2人で部屋に行ってするって言ったら?立川くんには部屋の外で待機してもらって」


「気になるけど…………すぐに移動する……かな」


 どこからか色気を醸し出してる2人。


「どうしたの立川くん、そんな顔して」


 千葉の耳をはむっと咥えながら、氷見谷は俺の方を見る。


「いや、なんで全部のシチュエーションで俺を登場させるのかなって。俺もう帰るつもりだし、2人でお好きにやってくれていいぞ」


 目の前で微エロの百合が始まり、困り果てた顔とは異なり、下半身は少し元気になる俺であった。


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