第18話 ツンデレの鏡
「ったく、だからあの変態は…………」
赤い頬をぺちぺちと叩き、ブツブツと言いながら千葉は席に戻ってきた。
「大変そうだな、お前」
「ホントよ、あんたも氷見谷と付き合えば嫌でも分かるわよ」
「死んでも付き合わないよ?うん。絶対に」
「え!?なんで!?」
「………………………………普通に」
確実に絞り取られるからなんて言える訳がない。
昼間っからパンパンされるのはごめんだ。俺が干からびてしまうからな。
半サキュバスみたいな人とは付き合いたくない。もし、程よい性欲だったら全然ありなのだが、あいつの欲は収まることはなさそうなので無理だ。
「氷見谷が魅力的じゃないっていうの!?」
テーブルに身を乗り出し、グーンと顔を近づける。
「そんな事一言も言ってないけど」
「ならなんで付き合えないのさ」
「なんでお前言わなきゃいけないのさ」
「……………私は氷見谷の………彼女だし?………やっぱり自分の彼女がどう思われてるか知りたい」
「うわっ、重っも」
「重いって言うな!」
十分重いだろ。
それに、もし俺が「全然付き合える」とか言ったら「私のだもん!」とか言われそうだし。
「どっちにしろ!氷見谷は私のだから絶対に―――――――」
人差し指をビシっと立てて言おうとすると、突然言葉が止まる。
そして、ボっと頭から湯気が噴き出始めた。
どうやら、自分で恥ずかしい事を言っている事に気付いたらしい。
「やっぱなんでもない!氷見谷のことなんかちょっとしか好きじゃないんだからね!?」
恥ずかしいのを隠すように盛大にツンデレた。
まぁ、顔は真っ赤だしちゃんとツンデレてないから隠しきれてはないんだけど、ツッコまないでおこう。
これで、口を挟んだら更にめんどくさくなりそうだ。
「ツンデレかよ」
出さないつもりだったのに、無意識に口に出してしまった。
「誰がツンデレよ!」
その言葉に、やはり千葉は反応してきた。
「あ、や、忘れてくれ」
誤魔化そうとするが、
「誰がツンデレって言ってんのよ!このバカ!」
「お前だよ、このツンデレが」
「私はツンデレじゃないっつってんでしょ!?」
「ツンデレの鏡みたいじゃんかよお前。貧乳だしさ。ありがちだろ?ツンデレ貧乳って」
「っ…………!誰がひんにゅ―――――」
「はいそこまで~」
俺達が言い争いをしていると、氷見谷はお皿を持ちながらこちらにやって来た。
「氷見谷酷い!こいつ私の事ツンデレ貧乳とか言ってきたんだけど!?」
「立川くんの言っている事は的確に当たってるけど、それは一旦置いておいて」
「ダメでしょ!一番の議題だって!」
必死に主張する千葉だったが、氷見谷はテーブルにそっと料理が乗っかっている2枚のお盆を置き、
「まぁまぁ、その話はこのチャーハンと卵スープを完食してからにしなさい!」
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