第17話 典型的なツンデレ
「あんた度肝抜くわよ」
俺達のやり取りを見ていた千葉は、頬杖を付きながら俺を見る。
「精力剤入れられて?」
「違うわよ!」
「なら、いきなり襲われてか?」
「それも違う!」
「うーん、これから縛られて絞り取られるからか?」
「料理を料理!あんたそんな事も分からないわけ!?バカなの?」
前のめりになりながら声を張った。
「そんなに美味しいのか?氷見谷の料理」
「ガチで美味しいから、覚悟しといたほうがいいわよ?」
「なぜお前が得意げになる」
「なんか氷見谷の手料理を誰かに美味しいって言われるのが嬉しくて」
フンスと鼻を鳴らす千葉に、
「意外に乙女なんだなお前」
クスッと笑った。
「はぁ!?…………………誰が乙女ですって!」
「お前だよ」
乙女という言葉に、机をバンと叩きながら過剰に反応する千葉。
照れ隠しなのか、ただ単に乙女と言われるのが嫌なのか、どっちなのか分からないな。
「乙女、そうね―――――心葉は乙女よ。見た目だけじゃなくて、ちゃんと性格も可愛いしね」
再度、氷見谷はキッチンから顔をひょこっと出した。
「氷見谷……………そうゆうのは人の前で言うな…………その…………恥ずかしから。それに………可愛いっていうな」
「可愛いわよ…………心葉」
「だから…………言うなっての、バカっ」
両手で顔をおおいながら、赤い顔を隠そうとする。
どうやら千葉はツンデレらしい。
素直に喜べないから強く当たって誤魔化す。典型的なツンデレだ。
「2人の過度な絡みはやめてくれ。また目の前で百合が始まりそうだ」
ここで百合が勃発してしまうと、俺はそれを眺めながら隠れてシコり始めるかもしれない。
それか、動画を取って後でゆっくりと楽しむか。
「べ、別にしないわよ」
「なら良かった。俺が気まずくなるだけだからな」
「それならさっさと帰ればいいじゃない」
「いや、流石にご飯は食べていくよ。お腹減ってるし、千葉が言う通り本当においしいか確かめたいし」
「そうね。料理はちゃんと食べてもらいたいわね」
「そしたらすぐ帰るよ。あとは2人で勝手にハッスルしてくだせー」
「しないわよ!」
「するわよ。心葉は誘ったら絶対乗り気になるもの」
氷見谷は菜箸で千葉を指しながら、テーブルの方に近づいて来た。
「…………………………。」
「反論するところでは?」
眉を寄せながら千葉を見ると、
「あんたはうるさい!それと氷見谷は静かに料理作ってて!」
千葉は赤面しながらも立ち上がり、氷見谷をキッチンへ追いやるのだった。
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