第9話 茶番じゃないから!
元はと言えば千葉、お前が俺につっかかってきたからこんな状況になってるんだぞ?自覚してんのか?
俺が課題取って教室から出た時、追いかけてこなかったら丸く何事もなかっただろ。
その証拠に、俺は見ていないフリをしてあげてたんだし。俺の善意を踏みねじるかのように絶叫しながら追いかけてきたのはお前じゃないか。
「そろそろ帰っていいか?もうこの茶番に付き合うのは疲れたんだが?」
ため息を吐く千葉の横で、俺も同じくため息を吐く。
「これのどこが茶番よ!」
「もちろん、このやり取りの全てだが?」
「どこに茶番要素があったのよ!」
「だから、全部だって」
「そうゆう事じゃなくて!」
必死に訴える千葉だが、俺にはさっぱり分からない。
これのどこが茶番じゃないのだろうか。
教室でエッチしていて、俺の机は愛液まみれになり、課題を取っただけで乳首を露出しているギャルに止められ、2の出会いを聞かされて、最後には目の前で百合される。
前半は違ったとしても、後半は茶番以外の何ものでもない。
「そのやり取りの方が茶番よ」
そうため息交じりに言ったのは氷見谷だった。会話の途中で入ってきたり話をまとめるのは普段の氷見谷の姿なんだよな。ここ数分で真面目なのが新鮮に感じる。
「氷見谷までそれを言う!?」
「本当の事だからね」
「ほら、俺だけじゃなかっただろ?」
「多数決はぜったいよ?」
「私は少数派の意見も尊重した方がいいと思うんだけど!」
氷見谷と俺は顔を見合せながら言うと、苦しそうに反論する。
「諦めなさい、今日の心葉は詰みよ」
肩を叩くと、
「わ、分かったわよ……………今日の所は折れてあげるわ……………」
「うんうん、良い判断だと思うよ」
「でも!あいつに私たちの関係を知られたからには何か対策をしないと!」
「例えば?」
「……………そこまでは考えてないけど」
「いいじゃない。立川くんも言わないって言ってるんだし、元を辿れば私たちが悪いしね」
「あいつの言葉を信じるわけ!?」
「ええもちろん、彼には色々とお世話になってるしね」
と、俺に不快な笑みを浮かべる。
氷見谷の表情に、千葉は、
「あんた氷見谷どんな関係なのよ!?」
胸ぐらを掴んできた。
「誤解だ!俺と氷見谷はお前が思っているような関係じゃない!」
「ならどんな関係なのよ!」
「強いて言うならずぶずぶな関係かしら?」
「ヤッたの!?」
「お前はわざと誤解を招くような事を言うな!」
「でも濃密な関係だったわよね、あの時は」
「お前ぇ~!」
千葉は鬼の形相で俺を睨む。
「ホントに違うから!ただ学級委員の仕事を手伝っただけだから!」
「このへんた…………………え?」
「書類をまとめるの手伝ったり、資料作ったりしただけだから!」
「…………資料、ふーん」
その言葉を聞くと、千葉の顔は一気にポカンとした。
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