住まうもの

バブみ道日丿宮組

お題:混沌のホテル 制限時間:15分

住まうもの

 入ったら出てこれないホテルという噂が流れ始めたのは、きっとぼくらがこの街にきたせいだ。

「……はぁ」

 餌が餌箱に入ってくるのはこちらから狩りに出かけなくてもいいということにはなるのだが、混沌とした気配がホテルに染み付きつつあるのは事実だ。

「匂いは消えないからね」

「でも、血は消せる」

 雰囲気を味わいとして匂いも残せと半身がいう。

 ならばと、

「もう少しホテルを壊す?」

「音で誰かいるのは雰囲気ない」

 半身は首を傾げる。

「確かに誰かがいるなら、入ったら出てこれないといったことはただの事件で事故じゃなくなる」

 今のところ警察官が1人栄養素となっただけで本腰でぼくらに対処しようとしてきてはいない。というか、それは彼らの仕事じゃないからまずこない。

 専属のハンター。彼らに話が通ればまた内容も1つ面白くもなる。

「ここは田舎」

 半身は笑う。

「好き放題か。何が住んでるかもわからない不気味なホテル」

 しかも海には露骨にこれしか建ってないという一品。施設として利用されることはないだろうし、再開発をしようとする団体もいない。

 いや、団体の中の1人の臓器を頂いてからこなくなったというのが正しいか。

「小さいのとわかい男女がいい」

「相変わらず偏った趣味だね」

 半身はしゃがみ、餌をつつく。もう反応はない。臓器を破壊して、どのくらいこの地域のものは持つのか試してみたが本国の10万分の1。ただの人間でしかない。

 いや、ぼくらがただの人間でしかないだけなのかもしれない。

 人間世界にいるのが人間という一枠しかないことしか知らない街。

 それがぼくらが滞在先、潜伏先として選んだ理由。

「効果テキメン」

 半身がもぎ取った腕は火の塊となり、半身の口へと入ってく。

「生焼は嫌いっていってけど、炎をまるごと食べるのもどうかと思うよ」

 自分の力だから大丈夫と首を傾げながら、どんどんと口へと運ぶ。

「うーん、見てて飽きないけど、餌の保管と力の制御保持はきちんとね」

 半身は食べるのに使ってない方の手に虹色の光を具現化させた。

「制御はまとめてる」

「こりゃぁ叶わないわけだ」

 協力してこなければ、ここまでこれなかった力の差。僕が知を選択肢、半身が力を穿つ。それでようやく本国の警備体制の中から逃げれた。

 いうても……いつまでこうなのかはわからない。

「楽しもう」

「……そうだね」

 ホテルはそういう場所でもあるのだから。

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住まうもの バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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