修学旅行先の美術館

バブみ道日丿宮組

お題:天才の四肢切断 制限時間:15分

修学旅行先の美術館

「この美術館、変わったものばかりあるね?」

 前を歩く女子生徒が陳列されたペンダントやら、絵画やらをちらちらと目移りさせてる。

「そう? どこもかしこも同じようなものに溢れててボクはいまいちつまらないよ」

 修学旅行先での芸術鑑賞のいっかんとして組み込まれた美術館。

 パンフレットを旅行前にもらってネットで情報はあらかた調べ終わってるから、見なくても大体の情報はわかる。

「まーたスマホ触ってる。たまにはリアルを楽しみなさいよ」

 目を細めた女子生徒ーー彼女がゆっくりとこちらへと歩み寄ってきたので、

「これもリアルだよ。ほら、ここの美術館の情報まとめ」

 ボクはひっそりと集めてたーーこの美術館の裏情報を彼女に見せつける。

「どれどれ……ってこれ全部都市伝説系じゃない。相変わらずそっち方面にしか興味ないのね。いやしってたけどさ……」

 ため息が深かった。彼女の気に障ることになるのは知ってるけど性分だから変えようもない。これがボクであって、そんなボクの側にい続けてくれてるのも彼女。

 そういう関係で、

「それはまぁ部長でもあるからね」

 ということでもある。

 そして『二人しかいないじゃない』と文句を言いながら後をついてくるのが、副部長で副生徒会長なんだけどね。

「で……この情報通りに行くわけね?」

 ボクはちなみに生徒会なんかには入ってない。情報を教えてもらってるというか探ってもらってるという方が近いかな。学校にまつわる噂とか、近くの街の情報とか。

 利用できるのは利用した結果。

 へんな因縁を色んな場所でつけられてしまった。

「そうだよ、怖い?」

「んん、学校の指定した場所にそんなものが本当にあるのだったとしたら生徒会として放っておけないからね。それに変な人がいなくなるし、いじめの原因を取り除くことにもなる」

「んー、別にボクがなくしてるわけではないんだけどな」

 争う、争わないの時点で相手がなぜかトラブルに巻き込まれて逃げてく。

 それがボクの学校の都市伝説ーー発展して威圧力にまでなったけれど、ボクが卒業してしまったらどうなるんだろうかと少し見てみたい気もするけど、ボクはボクで他のものが見たいからいいか。

「じゃぁ見てみようか、天才がかつて見たという四肢切断術とやらをさ」

 

 赤い垂れ幕を捲るとーーネットの噂通り、扉があった。


 ただこれはーー

「トイレだね」

 中は普通だった。

 所詮そんなもの。人生とはそれしかない。

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修学旅行先の美術館 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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