生きる兵器
バブみ道日丿宮組
お題:冷たい人体 制限時間:15分
生きる兵器
疑うものは救われない。
信じるただそれだけを行う。たった一人、一人だけ信じる。
それだけで行きてく。ボクはそうしなければ意味を持たない。
産まれた時からこの運命を背負ってきた。仲間も兄弟も眼中にない。
視界にいれるのは、ターゲットと先生の瞳。
「……先生これでいいんですか」
凍りついたターゲットの頭を先生の足元に置く。
「あぁさすが出来がいいね、君は……良いサンプルがまた増えた。異分子も潰せた」
笑顔になった先生はボクの頭に手を置く。
「では、いつものを」
そういって撫で始めた先生の手はごつごつとして、少し感触が悪いけどボクは撫でられないと死んでしまうからいうことを聞かなきゃいけない。
それが信じることと、眼中にいえなきゃいけない理由。仲間意識は必要ない。裏切られて任務をこなせないほうがずっと悪い。ボクはそんな兄弟も姉妹も仲間も見た。
この任務であっても、ボクのいうことをまるで聞かなかった。赤い瞳の少女たちだった。吸血鬼がいればまさにあんな目をしていたのかもしれない。
ふと想像の世界に落ちそうになったボクは、
「これであと何時間闘えますか」
大事なことを聞いた。
「薬の効果がきれるのは2時間だね」
2時間かーー短い。
その時間が過ぎれば、先生の足元で固まったかつて仲間だった人体と同じように変貌してく。
氷のように冷たい死体だ。
死後、数時間しか経ってないというのにさすが劇薬のマッド・サイエンティストと世間体に言われるだけはある。殺してきた人も同じことを言ってたな。
『狂ったおもちゃ』の一部が、と。
狂ってないとは言わない。
だけど、ボクにはボクの生きることがこれしかないから関係ない。
「実はね、君には特別性のを使ってるから実際48時間だ」
「それだと、もう5ヶ月ぐらいいらないですよね?」
先生はいつも特別性のをボクに試す。時間が様々で効果もよくわからない。
知ってる1つは、薬の効果が切れれば、心臓が冷却材となって周囲を瞬時冷凍する。恐ろしい兵器になるということ。
「だから特別性なんだよ。ほら、見てみろ」
先生が手のひらを見せてくれた。
霜がついてる。
「君は今生きる冷凍兵器だ。弾丸さえ貫けない」
「なるほど」
次は銃撃戦が激しい場所にいくのかと、理解して、
「この人体とターゲットは運びますか」
問う。
「いや、後ろの彼らに任せればいい」
先生の後ろには、黄色い汁を口から漏らす獣たちがいた。
「わかりました」
「では、戻るとしよう」
今日も生き残りは一人。
生きる兵器 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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