メジャーな抜け毛
バブみ道日丿宮組
お題:メジャーな抜け毛 制限時間:15分
メジャーな抜け毛
それがはじまったのは、幼稚園の頃。成長期の一種で誰しもが何らかの能力を持ってるものだと思ってた。テレビでも超能力とか、そういう特集をしてるくらいだからメジャーなもので、変わってるか変わってないかの違いでしかないと信じてた。
でも、小学校から少し遠い中学校に入学した時、それは嘘だったんだと気付かされた。
危なくタブーを犯すところだったと親に怒られて、この業界の行く末を考えてる人に連れてかれ歴史を長々と聞かされた。
僕が普通だと思ってたことは、普通ではない。人間にとって異常な生命体だということだった。
異常には人間は敏感ですぐに研究サンプルやら、迫害などをする。そういう歴史があり、祖先たちは2つに分かれたのだという。ひっそりと暮らすのと、僕たちのような異常たちが作った社会で暮らすということだ。
「まさか、半分妖怪の血が混じってるとはね」
そう、異常とは妖怪の血。
祖先たちが作ってくれたからこそ、今では社会も子育ても問題ないらしい。だけど、理解してない子どもが僕のように勘違いを起こしたり、感じてたりするみたい。
「そうだよ、だからこんな山の中に中学校があるんだよ」
幼馴染は笑う。
彼女の口元は耳元までいくこともあるーーいわゆる口裂け女の血を引いてるためだという。
他にも手が伸びるゴム人間のような人がいたり、水に溶けたり、火になったりというのがこのクラスにはいる。僕はこれが普通だと思ってたのに、
「だから、私の言うとおりだったでしょ?」
幼馴染のいうことを聞いて、普通の学校に通おうとしてた僕は愚かだった。
「そうだね……」
小学校は普通の学校だった。
口裂け女の血を受け継いでる幼馴染は可愛くないからとその力を隠してたらしいけど、僕は喧嘩で自分の力として使ってた。
抜け毛のサイクルだと思ってた力は、メジャーな抜け毛というものではない。
妖怪としての血。毛を飛ばすことができる能力だ。
「バレなくてよかったじゃない。ここならみんな同じだからいじめなんておきないしってか、何の能力があるかわからないからみんな疑い深いっていうのかな?」
なるほどなと、転校2日目にしてはやけに距離をとられてるなと思ってたところだ。
「でも、話してる人は話してるね」
「そりゃみんな仲良くしたいってのはあるからね」
ジロジロとこちらをたくさんの視線が向けられる。
「ふふ、人気者だね、転校生は?」
「やめろよ、お前が可愛いから嫉妬してるんだろ」
嫌な視線を感じると、中学校で最後に串刺してしまいそうだったクラスメイトの顔が浮かんだ。
「あぁその自己反射も止めたほうが良いよ。防御できることできないこがいるからね」
「すまん、頑張って制御してみるよ」
僕は話を聞いてこっちの社会で暮らすと決めたのだから、仲違いはしたくない。なるべく穏便に社会に溶け込んでいきたい。
まぁ……まさか幼馴染も同じような血を受け継いでるとは思わなかったけど。
メジャーな抜け毛 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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