財宝の守護者

バブみ道日丿宮組

お題:調和した悪役 制限時間:15分

財宝の守護者

 誰かのためになるならとその元を去った。残されたものは裏切りとして僕を憎んだ。おまけに指名手配までされるぐらいの始末。

「……」

 身代金1000万円。

 そんな大金が一体どこからでてきたのか。

 答えはそう……先祖代々伝わるあの蔵から出てきたものを売って作る気なんだろう。

 それにしても滑稽な話だ。仲が良い親戚同士がお宝が見つかった途端に誰が敵だ、誰が味方だと輪を作り、乱してったのは。

 一応当主の長女という僕は、その所有者に当たるらしい。

 死んだお祖父様の手紙にもそのようなことが書いてあった。

 両親たちはその手紙は無効である。

 なぜ、遺産として存続が自分たちではなく孫になるのかと、弁護士に問いただすとこれまたおかしな話で、本来あの蔵はある程度近いDNAを持つ人物でなければいけないシステムが組み込まれてるのだという。ちなみに蔵はお父様も入れる。

 問題はさらにその先にあった。

 そのことがあったからこそ、両親は憤慨した。

「やれやれ困った両親だよ」

「お嬢様も堂々と隠れもせずに逃走するんですから同じようなものですわ」

 そうかもねと、屋敷を抜ける時についてきたお世話係と電車に揺られ、窓際の人となる。

「……」

 僕がこうして逃げる原因となったのは、まだお祖父様が元気な頃。あの蔵に僕を入れたことがきっかけ。

『お前もいつかこの蔵を守る一族として皆を守るのだ』

 そんなことをお決まり文句のようにいるお祖父様。

 僕はどうでもいいしきたりだったので、そのへんにあった大きな石版に触れた。

 それがいけなかった。

 突如として石版が光りだすと、周囲を照らし、お祖父様がにっこりと笑うのをうつした。

 何百年に一人の確率で現れるかわからないほぼ同じDNAの持ち主として認識された石版は石箱に代わり、その中に鍵を収めてた。

 その鍵がいわゆる蔵にある財宝の鍵ということらしい。

 そのことはこうして逃げることになった時に判明したんだけど、わかってるんだったらあの時にお祖父様に教えてほしかったな。

 でも、あの時からお祖父様は僕にいろんなことを教えてくれるようになった。

 誰にも教えてない秘術やら、情報やら、技やら、言語やら。

 そのおかげで学校での勉強も運動も大分楽になった。10分の1くらいでほぼ平均の力が出せるようになった。

 その教えは、どうするかは自分で選べって言いたかったのかもしれない。

 財宝を守る番人となるか、知恵を絞って親戚にわけるか、あるいは?

「次の街ではどうしますか?」

「そうね、まずはお腹をみたしましょう」

 どうせ顔はばれてるし、拉致できる人ってことじゃないことはもう知らされてるだろうしね?

 

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財宝の守護者 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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