流れ
バブみ道日丿宮組
お題:簡単な言い訳 制限時間:15分
流れ
彼は必ず言い訳をする。
嘘偽りのない事実だからこそこちらとしては文句のつけようがない。
「良い人すぎるのも困るよ? 私に何かあったらどうするの?」
「そこは信頼してるからね。元学校の番長なんだから」
嫌な記憶を思い出させてくれる。
それが嫌で遠くの大学を選んだというのに……幼馴染に会わせたのが間違いだったか。
「中学も、高校も子どもだから出来たの! 今は無理」
「そっかな。威厳はあると思うよ。そういう君が可愛いんだもの」
はいはいと彼の背中をおして、デートを始める。
「別に私だってあんな学校を支配するようなことはしたくなかったんだけどね」
「うん、前も聞いた。大分荒れてた学校生活だったんだよね?」
そう、私の学校は不良ばかりがいて、犯罪に犯罪で上書きしてくのがほとんどだった。何人もの犠牲者が生まれ何人もの恨みが積み重なった。
そんなかたった1つの冴えたやり方で、あっという間に犠牲は止まった。
答えは簡単だ。
「君が逆に犯罪の犯罪をするって、犯罪者だよねー」
「その言い方だとまるで犯罪したみたいじゃない。私は何もしてないし、幼馴染もしてないよ」
ただーー
「全てを記録できるように公開されるようにしただけ」
おかげで何人もの逮捕者が出る騒ぎになった。
そこからは連鎖で家宅捜索やらが始まり、一時的に学校すらも閉鎖され特別観察学校と変わった。
「普通はそこはしないから」
「あのさ、学校で嫌なのをずっと我慢してるのって面倒くさくない?」
「んー、そうだね。大学でも君は告発しまくって、学長ですら罠にはめてたからね」
さぞかし楽しかったのか、彼は笑顔の表情を崩さない。
「おかげで警察の特別な部署に強制配属だよ? 笑えない」
大学は中高での技術を高めるために情報工学を選んだっていうのに、どうして関係のない警察なんて役所みたいなところに押し込められなきゃいけないんだろう。
「ある意味エリートコースっていうんじゃない? 俺なんてただのサラリーマンだよ。毎日メール見る仕事は面倒くさい」
わざとらしいため息。
私に劣らずかなりのプログラム技術があるのだから、どうせ自動で動くシステムを眺める毎日なんだろう。
「もうすぐ表彰されるんだよね? 赤ちゃんは大丈夫なの?」
「大丈夫。まだまだ出産は先。それより結婚式すらしてくれないの?」
「ふふ、表彰された後にビックイベントで発表したほうがインパクトあるじゃない。それに今まで稼いだお金でセキュリティの高いマンションと学校とか作って運営するんでしょ?」
「まぁね……」
計画書も土地も全て終わってる。
というか、基礎以外は彼が作ってくれたし……。
「少しずつそうやって、君が配属された意味を表にだしていけば、そのうち開放されるよ」
「はぁ……その頃には育児に縛られそうよ」
彼は屈むと私のお腹に耳をあてて、
「大事な子に育つといいね」
そういった。
流れ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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