潮風のような彼女
バブみ道日丿宮組
お題:賢い潮風 制限時間:15分
潮風のような彼女
潮風に吹かれてると部活をサボったことどうでも良くなってくるなぁ。
観光地って言うわりに誰もいないから、親が作ってくれた昼ごはんが美味しく感じる。
「……」
大体なんで強制参加なんだろうか?
部活に入ってるからと強制的に練習試合や公式試合にくる前提というのもわからない。
確かに運動神経がいいし楽だろうからと運動系の部活に入ったのかもしれない。今は文化系の部活から誘いがある。
まぁ……小学校から付き合ってる彼女の誘いだからそっちに行ったほうがたぶん楽だろう。漫画は一緒に描いてるし、どうして僕は最初から美術部に入らなかったんだ?
「はぁ……」
携帯電話がぶるぶるとなり続けてる。
自宅まで電話してくる部活顧問。こなければこないでいいじゃないかと。そもそも僕は選手でもなんでもない。
みてもつまらないし、やったほうが楽しい。先輩後輩関係ってのを理解するためとか親が言ってたけど、無意味だろう。
既に僕は彼女とそんな関係になってるし……尻に敷かれるって意味で。
そう考えてみると、少し逃げたかったのかもしれない。
休み時間であろうと放課後のちょっとした時間であろうと僕の腕に抱きついてくる癖が発動するし、潮風のように現れるからーー
「もうここにいたんだ! 電話ぐらい出なさいよ」
肩越しに振り返ると、噂の彼女がいた。
「あぁ電話、先生かと思って放置してたんだ」
「ふぅーん。だから早くこっちの部活に入ってきなって言ったじゃない」
白いワンピースに麦わら帽子と、夏を満喫してる格好。僕は親に行くといったから学生服。あまり見栄えがよくないかな、彼女にしてみると、
「部活さぼるんならデートにしようと思ってたのに探しちゃったじゃない」
そういうわけだったのか、少し綺麗になってた。
「うん、ごめんね。ただいつも見つけてくれるから大丈夫だと思ってたよ」
はいと、親の作ったおにぎりを渡すと、
「そうよ、当然じゃない。あなたのことなら全部わかるんだから、あっ! やっぱりおばさんの作るおにぎり美味しいわね」
……幸せそうにしてるな。
あぁそういや泊まりにきた時母と一緒に作っても一向に上手くないってぼやいてたな。母の愛情は彼女の愛情に勝てないのとか半分泣きべそでもあったか。
母は笑って何度も教えてっての繰り返しがほとんどの休日。
「忘れてたけど、最近デートしてなかったね」
「今更気づいたの? だからこうやって急いできたんじゃない」
「うーん、いつも家で一緒だったからね、気づかなかったよ」
弁当を食べ片付けた僕たちは、そのままの足で街に繰り出した。
その後、僕は部活顧問に怒られたが辞めることを伝えたらどうでもよくなったみたいだ。
潮風のような彼女 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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