155 『インヴィンシブル』
ミナトはジェラルド騎士団長に目を向ける。
「僕も今回はちょっとズルい無敵状態みたいなのはできないみたいで。だから、真っ向からの真剣勝負で片をつけましょう」
「我は元よりそのつもりだ」
ジェラルド騎士団長は、ミナトの言う「無敵状態」がなんなのかわからないし、知るつもりもなかった。相手が正々堂々戦うことがわかればいい。
ただ、思うこともある。
――我には干渉を許してしまうような、不完全な無敵状態か。我が《
現状知り得る情報から、ジェラルド騎士団長はそこまで導き出してしまった。
ミナトの隠している魔法は《すり抜け》。
人体以外を透明化するかのように通り抜けられる。
これを利用すれば、剣撃などくらうはずもない。拳や柔術などで戦う相手ならばミナトに触れられるかもしれないが、ミナトの神速と剣のリーチが相手に接触を許さない。
ゆえに、サツキの知る限り、ミナトは直接的な傷を負ったことがこれまで一度もなかった。
そしてこの《すり抜け》の弱点だが、先に書いたように人体はすり抜けられないことにある。
物理攻撃を透かせるだけ。
魔法そのものを透かせるわけじゃない。
だから、カーメロの《スタンド・バイ・ミー》は直接触れられたことで防御できなかったし、ツキヒの《シグナルチャック》は遠隔型の効果付与であるためそこに物理攻撃の要素がなく防ぎようがなかった。
今回、ジェラルド騎士団長の《
これらをミナトは自分でもよく理解していた。
――すり抜けられなかったのは魔法だけ。もし《
ミナトは、ジェラルド騎士団長の剣をよけない選択をした時点で、《
――あとは、支配された箇所がコントロールされてしまうのか。警戒しながら戦わないと。
また、ミナトにはほかにも懸念があった。
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