149 『オプティカルイリュージョン』
掌底、《
背中に叩き込まれた掌底は、後方への備えができていないマサオッチを容易に吹き飛ばす。
サツキがロメオにもらった手袋、《
マサオッチは掌底の威力と吹き飛ばされ壁にぶつかった衝撃で気絶。
一方――。
ミナトがジェンナーロに放った技《
元々は《
空間を斬り、空間にひびを入れて、そのひびの輪郭に亜空間ができてしまった。この輪郭が硬度を持った、それこそ刃のような働きを持ち、触れた物を傷つける斬撃になった。遠距離攻撃型の技で、その刃の輪郭が届く様が、まるで斬撃を飛ばしたかのようになるのだ。
《
ミナトの持つ、暴れ馬のような刀『
一振りすればなにか一つを斬らずにはいられぬ代物と評された刀。
「ぐあああああ!」
これをくらったのだから、ジェンナーロはひとたまりもなかった。
悲鳴を上げ、身体をボロボロにした。
しかし、ジェンナーロは気力で耐えた。
「耐えましたか、お見事」
ミナトはそう言って、追い打ちをかけるべく刀に手を添えた。
が。
彼の剣には模様が浮かび上がり、追撃しようとしたミナトは目を瞬かせた。
「おや?」
「《
不思議な模様の入った剣。
それをジェンナーロが構えている。
ミナトはその剣がぐにゃりと曲がったようにも見えるし、動いてくるように見えた。
それなのに、なぜか斬る気になれない。
なぜなら、
――どう対処すればいい?
その剣にどうやって対応すべきかがわからないからだった。
「剣が動いている……? 形が変わった……?」
「……その通り」
ジェンナーロは、ミナトの攻撃をギリギリで耐え忍び、呼吸を一つ、ミナトへの攻撃体勢を整えようとしていた。
このとき、サツキはもう戦うのも厳しいフレドリックに最後の一撃を叩き込むべく駆け、掌底を打ち込んだ。
「これで終わりだ」
「ああ、ワタシの負けだ」
フレドリックはサツキを見上げ、掌底を叩き込まれて倒れた。
掌底は、マサオッチのときに比べれば、それほど力を込めなかった。だが、フレドリックにはそれで充分だった。気絶している。
『
サツキはミナトを振り返り、
「『
「なるほどねえ」
「ここは俺が……」
そう言って、サツキがジェンナーロのほうへと走ろうとすると。
「じゃあ、これでいい」
ミナトは抜刀した。
「《
居合いの構えからの剣。
音を置き去りにした疾風の刃は、ジェンナーロの元へと一瞬で翔る。
特異な剣、『
さっき見せた《
違いはなんなのか、ミナトもよくはわかっていない。原理とか理屈とかはさておき、感覚では、より精密で高速の刃が《
つまり。
ミナトの今の剣は、正確に狙いをつけ、ジェンナーロの剣だけを弾き飛ばし、その軌道は続けてジェンナーロの右手を傷つけて翔去った。
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