36 『インフォメーションエクスチェンジ』
ナズナの頭の中に、リディオの声が聞こえてくる。
『聞こえるか? ナズナ姉ちゃん』
「あ、あれ? リディオ、くん?」
『おう! そうだぞ! 今、みんなに連絡してるんだ。
「や、やっぱり、なにか……あったんだね」
『そうなんだ。マノーラの街では、空間の入れ替えが起こってる』
「うん」
『驚いてないみたいだな。知ってたのか? ナズナ姉ちゃん』
「えっと……さっき、空を飛んで、見たから」
『そっか! さすがだぞ! どんな感じになってるかわかるか? 情報が欲しくてさ』
リディオは『
『
だから、リディオは情報が欲しいのだ。
「全部、将棋の盤面みたいに、四角で区切られてるの……。それで、広くて範囲はわからないけど、わたしのいるところからは……半径で、五キロ以上は、ありそう、だよ」
『四角で区切られてるのか。そして、少なくとも半径五キロ以上はある。なるほどな。助かる情報ありがとうな! 確か、今チナミ姉ちゃんといるんだよな?』
「あの……今は、チナミちゃんと、はぐれちゃって……一人になって、迷子の女の子と、いっしょ」
『迷子?』
「うん。その子を、おうちに送り届けて、あげたいの」
『そっか! わかったぞ! あとでサツキ兄ちゃんとチナミ姉ちゃんには報告しておくからな』
「あ、ありがとう。リディオくん」
『でも、気をつけるんだぞ。今、町にはサヴェッリ・ファミリーっていうマフィアが来てる。そいつらがアルブレア王国騎士と手を組んで、町で暴れてるんだ。狙いは士衛組と
「わたしたち……?」
『詳しく話す時間はないけど、簡単に言えば
「う、うん」
『とにかく、そういうことだからなるべくそいつらに見つからないようにな。それと、
「わ、わかったよ。あと、チナミちゃんには、わたしは大丈夫って、伝えてくれる?」
『おう。任せてくれ。またあとでなにかあったら連絡する』
そこで、リディオとの通信が終わった。ずっとその様子を見ていた迷子の女の子は、首をかしげて聞いた。
「だれと、お話してたの?」
「魔法でね、わたしの仲間……の組織、の人だよ」
「ん?」
ピンとこない女の子に、ナズナは優しく微笑みかける。
「今、町中がいろいろ起こって大変みたいなの。でも、わたしがいるから大丈夫だからね」
「うん。あっ、お姉ちゃん、お名前は? あたし、ロレッタ。
「ロレッタちゃんっていうんだね。わたしは、
「ありがとう! ナズナお姉ちゃん」
ふふ、とナズナは笑顔でうなずく。
――さっきから、お姉ちゃんって、ロレッタちゃんやリディオくんに言われて、こそばゆいな……。わたしもお姉ちゃんなんだし、がんばるぞ。
その頃、すでにリディオと情報共有をしたクコは、ここで意外な人物と再会することになった。
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