王都編 序

1 『青葉玖子は二宮三十三国を物語る』

「仲間を集めましょう」


 ルビー色の瞳を明るく輝かせ、クコは言った。

 サツキもそれには賛成だった。


「うむ。それで、どうやって集める?」

「アテはいくつかあります。とにかく出向くことになります」

「じゃあ、どのみちこのりゅうせいきょうを出ないとな」

「はい。もう出口もそこです。まずは、ここより南にある温泉街に行きたいと思っています」

「そこにも仲間が?」


 クコはうなずいた。


「お医者様の娘さんです」



 時はそうれき一五七二年四月五日。

 しろさつきあおは、アルブレア王国を目指す旅を始めたばかりだった。

 アルブレア王国は現在、ブロッキニオ大臣が実効支配している。

 そこで、王女クコは仲間を集めてアルブレア王国を取り戻すための旅をしているのである。

 仲間の一人目が、サツキだった。

 異世界からやってきた少年。

 サツキからすれば、こちらが異世界であり、異世界召喚されたことになる。

 そして、二人目の仲間が温泉街にいるという。


「医者の娘か。旅に危険はつきものだ。仲間になってくれるとありがたいな」

「とにかく当たってみましょう」

「その前に、クコは朝ごはんちゃんと食べたか?」


 聞かれて、ぐう~とクコのお腹が鳴る。


「まだです。お腹が空きました」


 照れたように笑って、お腹に手を当てる。


「じゃあ食事にしないか。もうお昼だ」

「そうですね。サツキ様に見つからないように宿を出ることばかり考えていて、時間もお腹が減っていたことも忘れていました」


 二人は少し歩いて、そば屋に入った。

『龍星峡茶屋 そばうどんの店』

 と書かれている。

 食事をいただきながら、二人はこれからについて話す。


「サツキ様。わたしたちはアルブレア王国を目指しながら、二つの寄り道をしようと思っています」

「寄り道って?」

「大きく分けて二つあります。一つは、ある人から助言をいただくことです。藤馬川博士の知り合いの学者様が、しんりゅうじまというところにいるそうです」

「そこに行くわけだな」

「はい。『まぼろしきょう』あるいは『たいらくえん』と呼ばれ、恐竜がいるそうです」

「恐竜は楽しみだ。もう一つの寄り道は?」

「仲間集めです。晴和王国には、忍びの者――つまり、忍者がいます。ただ、忍びの里はいくつかあるそうですが、いずれも見つけにくいと言われています。わたしたちが行くのは、『かぜめいきゅうとびがくれさと。そこに『ふうじん』とも称される『てきにんじゃ』がいるそうです。彼を仲間に引き入れます」

「忍者か。心強い」


 おもしろい世界である。ただの西洋ファンタジーにあらず、昔の日本の特徴も交えたユニークな世界に舞い降りたものだとサツキは思う。いや、晴和王国は完全に和風ファンタジーの世界だ。どこを歩いても風情がある。


「医者の娘。忍者。他にも仲間は何人か欲しいな」

「そうですね。博士はその点について、ゆきは一人のほうが追っ手から見つかりにくいと言いました。しかし、帰り――アルブレア王国への帰路は、少なくともサツキ様と二人になる。さらに、アルブレア王国では戦わなければならないでしょう。ですから、人目につくこともあり、戦う機会も増えます。仲間は多いほうがいい、と――」

「だろうな。古来より、武力によらざる革命はない。その革命を鎮めるのもまた、武力。戦力は必須といえる。仲間は必要だ」

「はい。サツキ様と出会ってからは、少なくとも十人ほどは仲間をつくるよう言われています。頼りになる仲間を」

「仲間集めには俺も賛成だけど、だいたいの目星をつけてる数だと何人になるんだ?」


 クコは苦笑する。


「博士から助言を受けているのは、忍者の方のほかに、二人だけです」

「二人? 一人はさっき言った、医者の娘か」

「はい。以前、わたしが晴和王国を訪れたときに知り合った方です。お医者様の娘さんで、私より二つ上なので今年十六歳になりますが、十二歳当時から医術の知識を持っていました。それに、当時の段階で今の私よりずっと強い魔法を使えました」


 強い魔法が使える医者。まだちゃんとした医者ではなくとも、ナースのような人なのだろうか、とサツキは想像する。


「あと、わたしの少ない人脈の中からですが、おとなずなさんを仲間にしたいと思っています」


 サツキは、お団子ツインテールの少女を思い出す。聖歌隊のような衣服。背には天使のような羽があり、ベレー帽をかぶっている少女である。


「確か、クコの記憶に登場した――」

「はい。わたしとリラのいとこです。空を飛ぶ魔法と、歌の魔法が使えます。戦闘においては役立つ魔法ばかりですよ。サポーターとしてわたしたちの助けになってくれると思います」

「仲間の魔法のパワーを増幅させたり、筋力をアップさせたり、癒やしの歌で体力を回復させたりできるんだっけか」

「ええ。ナズナさんのおうちは王都ですから通りがかりになりますし、立ち寄る予定はそれだけです。あとは縁ですね」

「うむ。なら、焦らずに行こう。三人以外にもいい仲間を見逃さないように」

「はい」


 明るい笑顔でクコはうなずいた。

 まず、近いのは医者の娘。そのあとナズナの家へ向かう。ナズナの家は王都にあるから、そのあと例の忍者と会うため一度忍者の里へ寄り、それからうらはまこうへ行く。

 そばも食べ終え、サツキは聞いた。


「晴和王国の王都ってどんなところなんだ?」

「晴和王国は現在、三十三国に分かれています。『王都』あまみやと、西にある『らく西せいみやだけが国という分類になく、特別な区域になっているのです」

 あまみやが東京都の二十三区、らく西せいみやが京都府のあたりになる。

 その二つだけが特殊な位置づけなのである。


「そういえば、こうほくみやというところがあったよな。ここよりもう少し南東に」

「光北ノ宮は、認識としては都市の一つだと思ってください。しょうくにの首都になります」

「ふむ。なるほど」


 サツキの記憶では、照花ノ国が栃木県、光北ノ宮が宇都宮市の大部分と鹿沼市の東側だった。


ぐうさんじゅうさんごく、これが今の晴和王国です」


 都道府県のようなものがこの二宮三十三国だと思われるが、国という単位ではあまりにそれぞれが独立しているふうに聞こえる。


「国というからには法なども独立していそうだが、各国は領土争いなどでもしてるのか?」

「はい。新戦国時代と言われていますね」

「新戦国時代か。新ということは、旧もあったんだな」

「ええ。旧戦国時代に天下統一した武将が、今の二つの宮を制定したと言われています。各国は国主を持ち彼らは将軍家の侍ですが、二つの宮にはそれがありません」

「防御はどうなるのだ?」

「不可侵地域になっております」

「つまり、晴和王国というくらいだから、王家の管理下になるのか」

「はい。旧戦国時代までの晴和王国では、国王を擁して実権を握るために、国王の住む地を狙うのが一般的でした。それは一つの形式にもなり、みなが国王直下の地を目指しました。しかし、賢明なる旧戦国時代の覇者は、それは国王に迷惑がかかることだからと、だれも手出しできないようにしたのです。また、王家に仕える公家が陰謀を巡らし他国と通じることで、さらなる争いが引き起こされるのも防ぐ狙いがあったと言われています」


 確かに、昔の京都も公家がはかりごとをしてきた歴史がある。それは平安時代からそうで、気に入らない武士が実権を握ると、別の武士に公家が声をかけ京に呼び、邪魔な武士を京から追い払ってもらう。新しい武士も期待外れと思うと、また別の武士を京に呼び追い払わせる。そうやって京に人を入れるたびに京の民が苦しむ。

 これを見て、武家と公家の余計な交わりを断つために、源頼朝が京から遠い鎌倉の地に府を構えた。武家のトップである頼朝本人のみが公家や帝の勅命を受ける形にし、京を荒らさせないためである。徳川家康も江戸に府を置くことで公家の干渉を避けた。

 クコは続ける。


「天下統一がなされて、晴和王国は他国ではあり得ない泰平の時代が二百年以上も続きました。世界一の経済大国となり、もっとも裕福な国でした」

「そこで、なにかあったか」

「アルブレア王国も関わってきますので、聞いて欲しいです」

「わかった」


 水で唇を湿らせ、クコは語った。


「世界では、造船技術も発達してきましたが、まだまだ個人が世界の国々の各店舗と取引をして商売する時代ではありません。今でもほんの一部です。特に、晴和王国は他国の何十倍もの経済力がありますから、他国との取引を必要と考える人は多くありませんでした。しかし、これを鎖国だとして幕府と国そのものへの批判が起こりました。実際に国が取引する相手国は絞られていましたから、曖昧な鎖国に対する開国運動ですね。そしてこの声を上げたのは、旧戦国時代に天下の覇権を決めた戦において、敗軍の総大将を務めた武将の子孫がいるちようはんくにです」

「よくある話だ。が、総大将をしておいて国を残してもらえたんだな」

「はい。領土は減らされましたが。一応、例の戦では最後まで日和見し、あとになって自分たちは中立だと主張したそうですが、さすがに総大将にまでなってしまったので、領土を減らす処置になったそうですね」

「まあ、画策したのが本人じゃなくても、スポンサーをしたようなものだ。自軍が勝てば巨利を得られて、負けたら中立だったじゃないかと言っておとがめなし、なんて都合良すぎる。国の存続を許されておいて恨むもないと思うが、彼らにも理屈があるんだろうな」

「その恨みが強かったそうです。毎年恨みを忘れないよう儀式をしていたそうですから」


 そこで、サツキは話の筋が見えた。


「では、その国が幕府への反逆を起こしたのか」

「そうです。晴和王国の体制について、意見を二転三転させながらも、最後には鎖国を辞めるよう求めて各地で暴動を起こしました。人斬りを雇って王都でも暴れさせたそうです。むろん、晴和王国は世界の国々との交友は絞りながらも持っていましたが、彼らにとっては一般市民が世界から取り残されている、という言い分があったのです」

「それが、さっきの造船技術と個人の取引可能な範囲の話だな」

「はい。農業で言えば、自分の家よりも貧しく遠い家と、取引をするよう持ちかけられるようなものです。取引にはコストもかかりますし、いくら相手に技術的に優れたところがあっても、自分たちの農作物を欲する人たちとどれほど取引したいかは、自分たちの満足度によっても違うでしょう?」

「うむ」


 サツキのいた世界で言えば、晴和王国の状況とは、宇宙に商売をしに行くようなものなのだ。言葉が通じるとはわかっていても、商品が売れる見込みもわからない。巨費を投じて個人が冒険するには厳しい。江戸時代末期に東海道中膝栗毛という旅行記的な面白小説が流行したとき、庶民の間でも江戸から伊勢への旅行がブームになった。しかし、徒歩での旅行でも一生に一度できるかどうかの贅沢なのだから、これで海外へ行くには並の資金力では難しいだろう。

 こんな話をクコにしても伝わらないので、サツキは話を先に進める。

 クコは続けた。


「さらに、晴和王国は美術工芸品や植物など、宝の山でしたから、倒幕派の躍進は海外の国にとって歓迎すべきことでした」


 それは、サツキの世界で言う江戸時代も同じで、オランダのシーボルトは医者として長崎に住み、お金を受け取らないで診療する代わりに、日本の情報を欲した。機密官として、武器や防具などの軍備、江戸城の見取り図や国家機密の日本地図まで複写して持ち出し、様々な物を日本国外へと送り出した。そこから莫大な額で日本地図を手に入れたアメリカがペリーの黒船を派遣したりと、日本を攻める足がかりを作ることにもなった。

 ただ、シーボルトは親日家だったという人もあり、日本の情報を集めるのもオランダが貿易を独占するためであったと思われる。他にも美術工芸品や動物の標本など数万点をオランダに送ったほどで、もっとも精を出したのが植物である。四季に富み豊かな植物文化を持つ日本からは二千種類も船に積んで、ヨーロッパの園芸の多様化と爆発的な発展を促した。今でも、オランダのお祭りを、日本のユリの花が彩るという……。

 ふと、サツキは聞いた。


「そういえば、この世界の人は晴和王国の人間じゃなくても名前に漢字を当てるようだが、どうなっているんだ?」


 クコの記憶を見せてもらったとき、みな漢字による表記があった。

 まるで、シーボルトが日本において「施福多」や「失以勃児杜」といった当て字を使用していたようだと思い出したのである。シーボルトの娘のいねは、失本と書いて名乗ったとも言うし、それくらいにアルブレア王国騎士の名前には当て字の感があった。


「ああ、それはですね、晴和王国にはトチカ文明が残っていると話したでしょう?」

「うむ」

「その文献にあったのが、名前の漢字表記でした。これを拒む国も中にはありますが、漢字を捨てる国はほとんどありません。昔は漢字を使わなかったメラキア合衆国やアルブレア王国も、もう千年以上も前から漢字の表記を持ちますよ」

「俺はおもしろいからいいと思う。俺の世界でも、中国や香港、台湾といった漢字圏は漢字文化だからこその文章による情緒を共有できる部分もあるような気がする。それでいくと、クコの青葉家は晴和王国風だよな」

「そうですね。王家同士が仲良かったからかもしれません。晴和王国との婚姻もあった青葉家が王家になったのは、今の創暦が始まって一二〇〇年が経ってからですが、晴和王国は創暦が始まった時にはすでに今の王朝です。トチカ文明の神話に登場する王家がそのまま今の王家として続いていますね」

「ふむ。王家の歴史もおもしろいな」


 アルブレア王国は、そこのイギリス式らしい。イギリスが西暦一六〇〇年以降に今の王朝になり、フランスやドイツなど他国の血も混じるのに比べ、晴和王国は日本の天皇家が神話に基づいており、紀元前から受け継がれていてどこから実在したか定かでないのに似ている。


「いつかまた、詳しくお話ししますね」

「頼むよ」

「ええと、晴和王国の幕末のお話でしたね」

「そうだった。海外との個人取引はあまりする人がないだろうって話だった」

「はい。個人取引は、晴和王国の人間にとっては、あまり魅力的なものでもありませんでした」

「仕方ないさ。俺のいた世界の音楽市場もそうで、日本は国内シェアがすごいから他国に売り出すための曲を作らない人が多い。反対に、日本の音楽市場に参入しようとする勢力はあるけどな。それが物品の取引となると、この時代は船で送り合うのにも時間がかかる。少量の取引で大金になるでもなければ、国内でシェアすればいいと考えるのは普通じゃないか」

「しかし、それが許せないのが倒幕派です。二つの宮でも天誅組と呼ばれる人たちが暴れたのです。『天誅』と叫んで、保守派と思われる発言をした者は一般市民も斬り、倒幕派は王都を焼きました。王家の庭は焼かれたそうですが、被害は幸い一部分で済み国王も無事でした。尊王を唱えていた彼らですが、これによって国も乱れ、数年後には若き国王は突然原因不明のまま崩御なされ、倒幕反対派だった国王が消えたことで倒幕派にとっての障害がなくなり、幼帝を抱えた彼らがついに実権を握る寸前まで行きました。倒幕派だった長斑ノ国が幼帝を得たこともあり、晴和王国内でも倒幕派に鞍替えする国も現れ、『官軍による幕府撃滅だ!』と各地での戦も最終局面に入っていきました」

「ちょっと待った。アルブレア王国が出てこないぞ」

「ええ、ちょうどそこです。ここまでは晴和王国の国内問題でしたが、ここにブロッキニオ大臣の悪意が絡んできたのです。つまり、アルブレア王国の干渉です。証拠として、密約が露見しました。アルブレア王国は長斑ノ国に、武器や技術の提供をしました。平和な晴和王国は、争う必要もないから武器の精度が低かったので、その効果は戦争でいかんなく発揮されました」


 モンゴル帝国の時代から、文化や経済が豊かな国が武力によって滅茶苦茶にされることはよくある。


「その見返りに、かの国が晴和王国を統治した日には、アルブレア王国――つまりはブロッキニオ大臣が新政府のバックにつくことになっていました。晴和王国のためにではなく、アルブレア王国のための間接統治体制をつくり、あとからお金は返済すればよい仕組みです」

「そうなれば、すぐにも文化資源や動植物などでいくらでも簡単に返済はできるだろう」

「はい。問題は、そうした体制が続くことです」

「今の日本も、明治維新を果たした明治政府の系譜が与野党ともに脈々と続いているが、日本のためにならない動きをする政治家は多いからな」


 政治家の世襲は、日本だけの問題ではないとはいえ、戦後は選挙が必須になったのにサツキのいた時代は世襲が続いている。システムとして、そんな器が出来上がっているからである。


「ブロッキニオ大臣の企みは巧妙でした。手始めに、アルブレア王国の生物を買うよう求めました」

「つまり、外来種か」


 クコはうなずく。


「そのための広報として、釣りや狩猟などを広める狙いもあったそうですね。また、晴和王国の美術品――特に浮世絵は大変な人気でしたから、それらを売る約束もしました。倒幕のための武器の大量購入でお金のなかった長斑ノ国は、国民から絵を取り上げるだけでふところを温められるのですから美味しいお話だったでしょう。でも、外来種も購入していかなければならなくなり、返済は簡単には終えられない計算も、ブロッキニオ大臣は綿密にしていました。数えれば切りが無いほどに密約がありましたが、それらが晴和王国内で一部露見し、アルブレア王国側でもとある大臣が追放処分されました。ブロッキニオ大臣と親しかった方です」

「なるほど。それで、倒幕が失敗したわけか」


 ゆるゆると首を振る。クコの白銀の髪が揺れる。


「いいえ。結果から言えば、倒幕は果たされました。勢いでそれだけは達成されました。その後に始まったのが新戦国時代です。この新戦国時代は、武士のトップである明確な将軍家がないことが特徴です」

「だいたいの流れはわかった。が、ブロッキニオ大臣はどうしたんだ?」

「ブロッキニオ大臣も関わっていたと思われますが、その証拠は出ませんでした。証拠はありませんが、サツキ様には話していない博士の魔法《げんそうえいしや》のもう一つの効果により、首謀者がブロッキニオ大臣だと博士はおっしゃいました。時と場所、その場にいた人たちの正確なイメージがあれば、指定した過去を映像で見られる力です。その映像から、追放された大臣に指示を出していたのがブロッキニオ大臣だと判明しました。しかし、やはり証拠はありませんし、博士が見ることのできた映像も一部だけでしたから、それ以上のことはわかっていません。それに、いくら博士が映像を映したとしても、その映像が真実と認めてもらえるわけではありません。想像を映したと言われてしまえば、第三者に確認する術はありませんから」


 他にも、クコはメラキアの関与の可能性もあると言ったし、黎之国の関与もあると言った。メラキアがアメリカ、黎之国が中国の北部三分の一ほど。ただし、どちらも支配層の中のほんの一部の者同士がつながっていて、国内での対立もあるらしい。


「少し暗い話になってしまいましたね」

「いや。聞けてよかった。ブロッキニオ大臣と戦うために、背景も知っていたほうがいいと思うからな」

「はい。では、そろそろ出ましょうか」

「うむ」


 サツキとクコは店を出て、再び歩き出した。

 目指すは温泉街。


がわおんせんがいは、すぐ近くです」

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