第30話 神聖幾何学
舞子がミッション系の友達が困ってると言う
また相談なのねと思うが人助けは大事だ
「綾瀬(あやせ)です」
駅前のファミリーレストランで待ち合わせに来た少女は気が強そうに
見える、頭も良いのだろうテキパキと説明をしてくれた。
「弟の隆博(たかひろ)が毎日のように奇妙な絵を描いてます」
絵を持ってきたので見せてくれた
「これは何の絵なの?」
舞子が隣で不思議そうに見ている。
それは絵ではなく図形だ。円の中に縦横無尽に線が交差をしている
CGにも見えるが、鉛筆書きだ。
「弟さんは学校には通えるの?」
綾瀬(あやせ)は、うなずく。
「学業に問題は出てないの?たとえば成績が落ちるとか?」
今度は、首を横にふる、否定だろう。
困った、情報が少ない上に図形の意味も判らない。
「心配な理由を教えて」
弟が奇妙な図形を描くだけでは、奇妙な趣味だろうが日常生活に
影響が出てるわけでもない
「私には、悪魔を呼び出す魔方陣に見えて・・・」
なるほどキリスト教のミッション系の学生なので心配をしているのだろう
「私が見る限りは、五芒星もないので違うとは思います
ただ私も詳しくないので、これを持ち帰って調べたいけど、いいですか?」
綾瀬(あやせ)は嬉しそうに私に図形を手渡した。
家に持ち帰ってネットで、まずぐぐって見るがまったく判らない
確かに悪魔召喚で使う魔方陣は古来から伝わっている。
例え悪魔が居たとしても、日本の少年が気軽に呼び出せるとは思えない。
「わからないわ、神道の巫女さんに聞いても無理だろうし」
従兄妹で霊能力者の武雄に聞くしかない、会いたくないけど
翌日の放課後に公園で待ち合わせをして武雄に図形を見てもらう。
いつもの通りにむっつりとした彼は、事務的に紙を受け取ると
図形をしばらく眺めると公園のベンチに座る
「なにか判る?」
私は彼の肩越しに図形を見ると、武雄はビクッとしたように振り向く
顔が近すぎる。あわてて離れた。
「・・・驚かせてごめん、でもなんでそんな反応なの」
いつもと少しだけ変だ
こいつとは子供の頃から過ごしている。こんなに神経質な反応は無かった
「図形に問題があるの?」
武雄は私の顔を直視する、目線が痛い、見過ぎだろ。
私の後ろに何か居るのだろうか?
段々と怖くなる
「なんか後ろに居るの?」
質問をしても答えない、明らかにおかしい
武雄はベンチから立ち上がると、私に近寄ってきた。
まさか本当に悪魔でも召喚されたのか?後ろに居るの?
焦った私は「武雄」と怒鳴る
武雄は立ち止まる。「塩を・・・」
うん?武雄の中に悪魔でも入ったの?
持っている食塩を彼の頭に全部、ぶちまけた。
塩だらけの頭をふりながら、武雄は元の彼に戻っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
興味津々で聞いている舞子が
「それでどうしたの?武雄君となんかあったの?」
ギラギラした目で私を問い詰める
「何もないわよ、あの図形は神聖幾何学と言って、おまじないの一種よ」
女子の間で人気が出たらしい、スピリチュアルな図形のお守りだ
持っているだけで恋が訪れるとか、よくある話
でもあの図形は、身近に居る異性に恋をする作用があるらしい
武雄は図形を見る事で、催眠状態で私に近づいてきた
悪寒が走るような展開で怖い
「弟の隆博(たかひろ)君は、なんで熱心に図形を描いてたのかしら?」
私は知っている、綾瀬(あやせ)の弟の写真を見せてもらった。
中性的を通り超してほぼ女性のような容姿だ
彼は『本当に効果がある図形』を見た事で、
自分に恋をしてしまった・・・のかしら?
ただ彼は、最近は髭が生えるようになり絵も描かないと聞く。
BL男子でなくて良かった。
終わり
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