第9話 無限のマンホール(1)

舞子が夜道を歩いてると、道の真ん中にマンホールがある。

普段は気にもしないマンホールだが、蓋が開いていた。

怖そうにマンホールを避けて通る。


「玲子さん、なんか昨日の夜にマンホールがあって蓋が開いてた」

舞子がいきなり切り出す

「うん?なにかあったの」

「今日の朝は閉まってたわ」

見間違いだろうと意見してみると、舞子は納得した。


クラスの担任が入ってくると

「数人の生徒が行方不明になっています、夜遅くに帰らないように」

予兆なのだろうか


今日は部活もないらしく大勢の生徒が帰途についている

校門から出ると、霊能者で従兄妹の武雄がいた。

あいかわらず、無愛想に校門に背をつけている。

足腰でも弱いのだろうか


「今日はなに?」普段ならスルーしている。

武雄が

「少女の除霊は、また後でする、今回は行方不明事件だ」

廃屋の少女は、まだ手をつけていないらしい。


「オカルト関係の話なの?」

霊能者にオカルトかどうか聞いても意味がないが『嫌味』だ。

「行方不明事件は聞いているだろ?」

彼は鈍感なのか、嫌味はスルーされた。


「舞子が怪しげなマンホールを見たと言ってたわ」

情報提供になにか、おごって欲しいものだ。

「・・マンホールか関係あるかもしれない

 玲子も来てくれ」


彼は有能だが強引だ、何かにつけて私を関係させようとする。

私が霊を退散させている塩や真言は彼から伝授された。

小さい頃は、たまに彼と遊ぶ事もあり自然と教えられた。


無下に断ると、助けを求めても断られる可能性もある。

嫌でも承諾した。


「なにするの」

「深夜に街を巡回してみる」


妹が早く寝る事を祈った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る