学生トーク「お笑い/コメディ編」

山田 武

学生トーク「お笑い/コメディ編」



「俺、テレビで観たんだけどさ……お笑いって言葉には深い意味があるんだぜ?」


「下の部分が笑わせているってヤツだろ、いや見たよ。お前、俺をテレビ難民だとでも考えてるのか?」


「……くっ、お前のことだから絶対に寝過ごしたと思ったのに」


「…………それは当たりだけど、あとで見逃し配信を観たんだよ」


 昔には無かったネット技術の発展が、彼らの情報量の差を埋めたようだ。

 だが今の彼らの話は、そちらではなくお笑いに関するものだった。


「お笑いって言ってもさ、結局それを面白いと思うかは十人十色だろう? 万人受けするものって存在しないんじゃないか?」


「まあ、子供から大人まで笑えるネタってのは無いと思うけどさ。でも、爆笑ってことでもなくても、ほっこり笑みを浮かべることができるのもお笑いだと思うんだ」


「…………それはお笑い芸人的に、良しにはできないと思うけどな」


 芸人の仕事は笑わせること、そうテレビの前の視聴者たちも認識している。

 であれば、他の芸人を超える笑いを──つまりは爆笑を勝ち取ることが仕事だろう。


「ただまあ、日本と外国とじゃ絶対に違うネタが必要だとは思うな」


「あー、あっちは派手さ重視だしなー。お笑いとコメディは別物なんだよ」


「まあ結局あれだな、お笑いってのは食事と同じだな」


「食事と同じ?」


「──どちらも、心を満たしてくれる」


「……………………はっ?」


「いや、何でもナイデス」


 彼らは別に、将来として芸人を目指しているわけでもないただの一般人。

 上手く纏めようとしても、そこまで面白くないのだった。





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