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なんかこう、バズる気配は全く感じなかったが、撮影自体は楽しく進んでいた。三人三様の可愛さというのもよく出ている。
最後のチェックポイントを越え、あとは帰るだけである。先頭は棚橋さん。僕は一番後ろである。
「段差があるので気を付けてください」
そう言うと棚橋さんは、回り込みながらゆっくりと下っていく。
「よっ」
だが、続く福田さんは一気に飛び降りようとした。着地して、そのまま立ち止まっている。
「どうしたの?」
栗田さんが心配してのぞき込む。
「いえ、なんでも」
そのようには見えなかった。
「足くじいたんじゃない?」
福田さんの方に駆け寄る。右足を抑えている。
「棚橋さん、あと少しだよね」
「そうですね」
「じゃあ、僕がおんぶしていくよ」
「え゛」
「なんて声出すの」
「ちょっ、加島君、これ、動画撮ってるのよ」
「そんなこと言ったってここに置いていくわけにはいかないでしょ」
「荷物は私が持つね☆」
「すみません。ほら」
僕がしゃがむと、福田さんはしぶしぶ背中に乗った。
「かるっ」
「余計なこと言わないで」
「じゃあ、行きましょうか」
「なんて情けない……」
福田さんはへこんでいるが、動画的にはこういうアクシデントはおいしかったりする。出来上がりがどうなるか、楽しみである。
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